英国では、2008年に子宮頸がんの予防を目的としてヒトパピローマウイルス(HPV)に対する2価ワクチン(商品名サーバリックス)の接種プログラムを開始した。同国・King's College LondonのMilena Falcaro氏らは、ワクチン接種者の追跡調査を行った結果、予防効果は12~13歳時にワクチンを接種した女性で最も顕著で、未接種群に比べて子宮頸がんの発生率が87%低かったとLancet2021年11月3日オンライン版)に発表した。

16~18歳で34%、14~16歳で62%減少

 Falcaro氏らは英国のがん登録データベースから、2006年1月1日~19年6月30日に子宮頸がん(2万7,946例)およびグレード3の子宮頸部上皮異形成(CIN3、31万8,058例)と診断された20~64歳の女性を抽出。このうちHPVワクチン接種を受けた30歳未満の女性を延べ1,370万人・年追跡し、ワクチン接種時の年齢別に子宮頸がんおよびCIN3の発生率を未接種群と比較した。

 なお、英国では初回の子宮頸がんスクリーニングの対象年齢が、1988年の20歳以上から2004年には25.0歳、2012年には24.5歳へと引き上げられている。また、2009年にテレビタレントのJade Goody氏が子宮頸がんにより27歳の若さで死亡したことを受け、その後の子宮頸がんスクリーニング受検者が急増した。解析に際しては、これらも子宮頸がんの検出率に影響しうる交絡因子として調整した。

 検討の結果、ワクチン未接種群に対する子宮頸がん発生の推定相対減少率はワクチン接種時年齢が16~18歳群で34%(95%CI 25~41%)、14~16歳群で62%(同52~71%)、12~13歳群で87%(同72~94%)、それぞれ低かった。

 また、未接種群と比較したCIN3の発生率は16~18歳群で39%(95%CI 36~41%)、14~16歳群で75%(同72~77%)、12~13歳群で97%(同96~98%)、それぞれ低下していた。

 子宮頸がんおよびCIN3ともに、各年齢のワクチン接種群と未接種群との間に有意差が認められた(P<0.0001)。

1995年以降出生では前がん病変も含めほぼゼロに

 以上を踏まえ、Falcaro氏らは「英国では、2008年のHPVワクチン接種プログラム導入から2019年6月30日までに、子宮頸がんが448例(95%CI 339~556例)、CIN3が1万7,235(同1万5,919~1万8,552)、それぞれ回避された」と推定。「HPVワクチン接種は子宮頸がんおよびCIN3の発生率を大幅に低下させ、その効果は12~13歳時に接種を受けた女性で最も大きかった。1995年9月1日以降に出生した(25歳以下の)女性では、子宮頸がんおよび前がん病変がほぼゼロになった」と結論している。

 英・University of AberdeenのMaggie E. Cruickshank氏とルーマニア・Grigore T.PopaUniversity of Medicine and PharmacyのMihaela Grigore氏は同誌の付随論評(2021年11月3日オンライン版)で、「Falcaro氏らの研究結果は、HPVワクチン接種率が16~18歳群の約45%に対し12~13歳群では約85%と高いことや、年齢の上昇とともにワクチン接種前のHPV感染リスクが上昇することを反映している」との見解を示している。HPVワクチンはHPVに感染する前、すなわち初回の性交渉を経験する前に接種した場合に最も効果が高いとされる。

 両氏は「HPVワクチン接種プログラムの結果であると推測される子宮頸がんの相対的な減少は、期待されるワクチンの効果を裏付けるものだ」と指摘している。

(太田敦子)