【ベルリン、モスクワ、ロンドン時事】欧州やロシアで、新型コロナウイルスの感染・死者数が急増している。ロシアでは連日、死者が1000人を超えているほか、中・東欧でも1日の死者が過去最多となる国が相次ぐ。ドイツも今月に入り、1日の新規感染者が最多となった。進まないワクチン接種が一因とみられ、ウイルスが拡散しやすい冬を控えて各国当局は危機感を強めている。
 「欧州の感染状況は深刻な懸念だ」。世界保健機関(WHO)のクルーゲ欧州地域事務局長は4日の記者会見で強く警告した。特にワクチン接種の遅れが感染拡大につながっているとして、各国当局に「全力で接種を加速すべきだ」と促した。
 問題が顕著なのはロシアだ。今月に入り毎日4万人前後の新規感染者が報告され、10日は死者が1239人と過去最多を記録した。ロシアは昨年8月に世界に先駆けて国産ワクチン「スプートニクV」を承認したが、国民の不信感は根強く、接種を完了したのは人口の約34%にとどまる。1日発表の世論調査によれば、接種の意向が「ない」は45%で、「ある」の19%を大きく上回った。
 中・東欧諸国も状況は似ている。接種完了率はブルガリアが16%、ボスニア・ヘルツェゴビナが21%、ルーマニアが28%など、多くの国が低迷。死者数も、ルーマニアが3日に591人、ブルガリアが9日に334人とそれぞれ最多を記録し、人口当たりではロシアより高い水準だ。今年3度も総選挙を行うことになったブルガリアなど、政情が不安定な国が多いことも、ワクチンが行き届かない原因に挙げられる。
 ただ、接種完了率が67%とある程度進んだドイツでも、感染者は11日に5万人超とこれまでで最も多くなり、10日には死者も236人と5月末以来の多さを記録した。
 シュパーン保健相は「非接種者の間でのパンデミック(世界的大流行)」だと述べ、感染拡大の主因はワクチン接種拒否者だと断定。一部世論調査では、ワクチン義務化を求める意見が過半数を占めるなど、反ワクチン派を念頭に、強制力を伴う措置が必要と求める声も強まっている。
 接種完了率約80%の英国では、新規感染者は3万~4万人で推移。5万人を超えた10月半ばごろからは徐々に減り、「今年のピークは過ぎた」と主張する一部調査もある。ただ、気温がさらに下がる冬に向けて状況は予断を許さず、保健当局は「困難な数カ月が待ち受けている」と警戒を緩めないよう呼び掛けている。 (C)時事通信社