国立がん研究センターの「施設をベースとしたがん登録情報の収集から活用・情報発信までの効果と効率の最大化モデル構築のための研究」研究班(以下、研究班)は、全国がんセンター協議会(全がん協)加盟32施設における部位別5年生存率、10年生存率を集計し公表している。11月10日に更新された最新の集計結果によると、全がんの10年相対生存率は前回調査より上昇した。しかし生存率が低下した部位もあり、臨床的意義は示されなかった(関連記事「最新がん生存率、5年68.6%、10年58.3%」)。

58.3%から58.9%に上昇

 研究班は部位別臨床病期別5年生存率、施設別5年生存率を公表しており、2012年にはグラフを描画する生存率解析システム「KapWeb」を開設した。また、2016年以降はより長期にわたる生存率が把握できる10年生存率を公表している。

 収集症例は1997〜2013年に全がん協加盟の32施設で診断・治療を行った87万6,679例。10年相対生存率は2005〜08年に診断・治療し集計基準を満たした12万649例を対象に18の部位別に算出した。全部位全臨床病期の10年相対生存率(病期不明症例を含む全症例)は58.9%で、前回集計(2004〜07年症例)の58.3%よりも上昇していたが、生存率が低下している部位もあり()、臨床的に意味のある変化は認められなかった。

表. 10年相対生存率

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(全がん協生存率調査を基に編集部作成)

 5年相対生存率は2011〜13年に診断・治療し集計基準を満たした15万1,568例を対象に22の部位別に算出した。全部位全臨床病期の5年相対生存率(病期不明症例を含む全症例)は68.9%で、初回集計(1997〜99年症例)の61.8%から上昇を続けているが、前回集計(2010〜12年症例)と比べて生存率が低下している部位も見られ、臨床的に意義のある変化は認められなかった。

  • ①15〜94歳、②良性腫瘍、上皮内がん、0期、転移性腫瘍は除外、③自施設診断自施設治療および他施設診断自施設治療症例(診断のみは解析対象外)、④臨床病期判明率60%以上、追跡率(予後判明率)90%以上を満たした施設

(安部重範)