HPVワクチンの積極的勧奨が中止された間、当時小学6年~高校1年だった女性の多くが無料の定期接種の機会を逃した。そうした人への「キャッチアップ接種」が急がれる中、当事者からは「自分の体を守りたいと思う気持ちを酌んでほしい」との声が上がる。
 大阪大の上田豊講師と八木麻未特任助教の研究によると、無料で接種できる年代を過ぎた2000~04年度に生まれた現在16~21歳の女性のうち、200万人余りが機会を逃したとされる。
 大学2年の山田真帆さん(19)も、無料接種を受けられなかった。中学入学の前後にワクチンの存在を知ったが、当時は接種後に体調を崩したとの報道が盛んで、母親と相談して見送った。「判断できるほどの知識を持っていなかった」と振り返る。
 高3時の授業を契機に、体調異変とワクチンに因果関係はないとの研究結果を目にし、接種に気持ちが傾いた。大学進学後、「今からでも効果があるなら打ちたい」と思ったが、費用は最低でも約5万円、より効果が高いワクチンは約10万円かかる。学生には高額で、「働いたら受けよう」と今も打てずにいる。
 HPVは主に性行為で感染し、性交渉開始(セクシャルデビュー)前の接種が最も効果的とされる。長崎大の森内浩幸教授によると、子宮頸(けい)がんを起こすHPVには多くの型があり、ワクチンで予防できる型に未感染であれば効果は期待できる。森内氏は「デビュー後でも限定的だが効果はある。早ければ早いほどいい」と早期のキャッチアップを訴える。
 上田講師らは、00~04年度に生まれた女性が接種を受けなかったことで、将来、子宮頸がんの罹患(りかん)者が2万2000人、死亡者が5500人増えると推計する。上田氏は「キャッチアップ接種をしたり、子宮頸がん検診の受診率を上げたりすれば人数を減らせる」と話す。
 山田さんの周りには、接種のため貯金を始めた人もいる。山田さんは「自分の体を守りたい。チャンスを逃した人やその後自費で接種した人に全額補償してほしい」と願っている。 (C)時事通信社