HPVワクチンの積極的勧奨再開が12日、厚生労働省の専門部会で決まった。再開までに要した約8年の間に、定期接種率は一時0.3%まで低迷した。副反応への不安をいかに払拭(ふっしょく)するかが定着への課題だ。
 「現実的にはほとんど打たないことになるのでは」。勧奨中止が決まった2013年の部会で、専門家からは懸念の声が上がった。ただこの時点では、「可及的速やかな再開」が念頭に置かれていた。14年には接種後に訴えのあった症状について、「心身の反応(機能性身体症状)」とする見解が示され、1カ月以上経過した症例は因果関係に乏しいと整理された。だが、ワクチンへの風当たりは弱まらなかった。
 ある医師は、当時は医療現場でも機能性身体症状になじみが薄く、「寄り添った対応ができず、負のイメージが固定化されてしまった」と省みる。一時7割に達した接種率は、定期接種化から2カ月で勧奨中止に追い込まれた13年度には17.2%に低下。16年度は0.3%に落ち込んだ。
 部会は17年、「症状とワクチンの因果関係を示す科学的根拠なし」との見解をまとめた。厚労省は20年、有効性とリスクを記したリーフレットを対象家庭に原則個別送付するよう自治体へ求めるなど、情報提供にかじを切った。
 海外の大規模調査で子宮頸(けい)がんの高い予防効果が示されるなど、ワクチンの有効性に関する報告も集まってきた。新型コロナウイルス禍でワクチン自体への関心も高まり、「土壌ができてきた」と同省担当者。ただ、強い副反応への不安が解消されたとまでは言えず、接種率がどこまで回復するかは不透明だ。
 他のワクチンと比べ、数十年先のメリットを感じにくいとの声もあるが、ある専門家は「がんになる手前で病変を見つけられても、治療には早産などのリスクが伴う。感染予防が大切とより周知する必要がある」と話す。同省担当者は「わが事として判断することが大事。そうでなければ、いくら行政が勧奨しても定着しない」と語った。 (C)時事通信社