JAK阻害薬投与が奏効しなかった治療抵抗性関節リウマチ(RA)患者において、2剤目のJAK阻害薬への切り替えと生物学的製剤(bDMARD)への切り替えに同程度の効果が期待できることが示された。スペイン・Hospital Clinico Universitario de Santiago de CompostelaのManuel Pombo-Suarez氏らは、国際共同RAレジストリ研究JAK-potの結果を米国リウマチ学会(ACR Convergence 2021 、11月1~10日、ウェブ開催)で発表した。

14カ国の708例を解析

 欧州リウマチ学会(EULAR)はbDMARDが奏効しなかったRA患者に対して、bDMARDの変更またはJAK阻害薬への切り替えを推奨している(Ann Rheum Dis 2020; 79: 685-699)。しかし、最初のJAK阻害薬が奏効しなかった患者に対する2剤目のJAK阻害薬のサイクル投与(JAK阻害薬→JAK阻害薬)またはbDMARDへの切り替え(JAK阻害薬→bDMARD)の有効性を比較したデータはない。

 そこでPombo-Suarez氏らは、14カ国の国際共同RAレジストリに登録され最初のJAK阻害薬が奏効しなかったRA患者708例を対象にサイクル投与群とbDMARDへの切り替え群で2年間の観察期間における投与継続および疾患活動性(DAS28)を評価した。対象のうち154例が2剤目のJAK阻害薬のサイクル投与を、554例がbDMARDへの切り替えを行った。

 患者の背景を見ると、bDMARD切り替え群に比べJAK阻害薬サイクル投与群は年齢が高く(平均54.74歳 vs. 58.41歳、P=0.002)、RA罹病期間が長く(平均11.37年 vs. 13.95年、P=0.002)、これまでに使用したbDMARDの種類が多く(中央値1剤 vs.1.5剤、P<0.001)、最初のJAK阻害薬使用期間が長かった(平均0.69年 vs. 1.38年、P<0.001)。また、サイクル投与群は合成リウマチ薬(csDMARD)併用率が低く(63.0% vs. 44.8%、P<0.001)、最初のJAK阻害薬中止の理由として有害事象の割合が高く(17.9% vs. 27.3%、P=0.003)、効果なしの割合が低かった(65.0% vs. 61.0%、P=0.003)。

薬剤継続期間とDAS28は両群で同等

 Kaplan-Meier法による解析の結果、サイクル投与またはbDMARD切り替え後の投与継続期間は両群で有意差はなかった(P=0.36)。

 最初のJAK阻害薬の中止理由が効果なしだった患者に限っても、サイクル投与または切り替え後の投与継続期間は両群で有意差はなかった(P=0.16)。最初のJAK阻害薬の中止理由が効果なしだった患者でサイクル投与または切り替え後に投与中止に至った患者がおり理由を見ると、両群とも効果なしの割合が高かった。

 最初のJAK阻害薬中止理由が有害事象だった患者では、サイクル投与または切り替え後の投与継続期間に両群で有意差はなかった(P=0.25)。最初のJAK阻害薬中止理由が有害事象だった患者において、サイクル投与群では2剤目のJAK阻害薬の中止理由として有害事象の割合が高い傾向が見られた。それに対し切り替え群では、bDMARD中止理由として有害事象と効果なしの割合に差がなかった。

 年齢、性を調整した線形混合モデルで経時的にDAS28を評価すると、サイクル投与群と切り替え群のいずれでもDAS28の改善傾向が認められ、観察期間6カ月以上で両群に同程度の改善が認められた。

 以上の結果を踏まえ、Pombo-Suarez氏は「最初のJAK阻害薬が奏効しなかった治療抵抗性RA患者において、JAK阻害薬サイクル投与とbDMARDへの切り替えで同等の有効性が認められた。最初のJAK阻害薬に失敗した後にJAK阻害薬サイクル投与を行った患者は、bDMARDに切り替えた患者よりも治療抵抗性が強くなる傾向にあった。最初のJAK阻害薬中止理由が有害事象だった患者では、2剤目のJAK阻害薬の中止も有害事象である割合が高かった」と結論した。

 同氏は今回の研究の限界として、各国の症例数が少なく、国間の不均一性を評価できなかったこと、大部分の患者が最初のJAK阻害薬としてトファシチニブを使用していたこと(サイクル投与群76.0%、切り替え群79.6%)、追跡期間の短さを挙げている。

(大江 円)