イスラエル・Tel Aviv University Sackler School of MedicineのNoa Eliakim-Raz氏らは、ファイザー製新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(トジナメラン)を追加接種(ブースター接種)した60歳以上の男女を対象に免疫応答を評価。その結果、3回目接種10~19日後にSARS-CoV-2抗スパイク蛋白質に対する抗体価(IgG抗体価)が有意に上昇すること、主要な有害事象は認められないことが示されたと、JAMA2021年11月5日オンライン版)に発表した。

トジナメラン3回目接種前後のIgG抗体価を評価

 これまでに、トジナメランの2回接種による免疫応答が65~85歳では18~55歳に比べ低いことや、トジナメランを2回接種した65歳以上の医療従事者では6カ月以内に液性免疫応答(IgG抗体および中和抗体)の減弱が認められたことなどが報告されている。しかし、60歳以上におけるトジナメラン接種による免疫応答の持続性は明確ではない。

 そうした中、イスラエルでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の第四波襲来後の今年(2021年)7月末に、保健当局が60歳以上に対するトジナメランの3回目接種を承認。その後、若年層にも承認を拡大した。

 Eliakim-Raz氏らは今回、トジナメラン3回目接種の前(2021年8月4~12日)と10~19日後(8月16~24日)にIgG抗体価を測定し、接種前後の免疫応答を評価した。対象は、トジナメランの3回目接種を受けた60歳以上の医療従事者およびその家族97例(年齢中央値は70歳、男性38例、女性59例)。COVID-19の重症化リスクが高いと考えられ、早期に3回目接種が認められた集団である。COVID-19既往例および進行性悪性腫瘍例は除外した。

追加接種10~19日後に有意な液性免疫を獲得

 解析の結果、3回目接種前〔初回接種からの期間(中央値)221日、四分位範囲(IQR)218~225日〕の血清陽性は94例(97%)だった。

 IgG抗体価(中央値)は、3回目接種前の440AU/mL(IQR 294~923AU/mL)から、接種後には2万5,468AU/mL(IQR 1万4,203~3万6,618AU/mL)と有意に上昇(P<0.001、Wilcoxonの符号付順位検定)。全例が血清陽性となった。

 年齢とIgG抗体価の関連を検討したところ、両者の間に有意な相関は認められなかった(Spearmanの順位相関係数-0.075、P=0.47)。

3回目接種後に主要な有害事象なし

 多変量解析を行ったところ、年齢、性、ワクチン初回接種からの日数、併存疾患(高コレステロール血症、高血圧、肥満、糖尿病、虚血性心疾患)のいずれも、IgG抗体価上昇との有意な関連は認められなかった。

 主要な有害事象は報告されなかった。

 Eliakim-Raz氏らは、今回の研究の限界として、小規模の検討である、追跡期間が短い、細胞性免疫および中和抗体を評価していないことを挙げた。その上で、「60歳以上の成人への3回目のトジナメラン接種により、10~19日後にIgG抗体価の有意な上昇が得られること、主要な有害事象は見られないことが血清学的にも示された」と結論している。

(比企野綾子)