体長1ミリほどの線虫を使い、1滴の尿から早期のがんも検知する検査を実用化したベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」(東京)は16日、遺伝子改変した線虫を使い、早期発見が困難な膵臓(すいぞう)がんの判別に成功したと発表した。尿による簡便な検査で判別できれば、早期治療につながると期待される。同社は来年中の実用化を目指すとしている。
 がん患者の呼気や尿には、特有のにおいがあることが知られている。同社の広津崇亮社長は九州大助教だった2015年、嗅覚が発達している実験動物の線虫C・エレガンスを使い、高精度でがんを検知する手法を開発。同社を設立し検査サービスを始めたが、がんの種別までは判別できなかった。
 同社は、線虫の嗅覚受容体を詳しく解析し、膵臓がん患者の尿にのみ反応する遺伝子を特定。この遺伝子を働かなくした線虫は、胃がんや肺がんなど他のがん患者の尿には近づく一方、膵臓がん患者の尿にだけ近づかなかった。
 膵臓がん患者とその他のがん患者の尿を使った実験では、膵臓がんを正しく判別する割合(感度)は100%、その他のがんを正しく判別する割合(特異度)は91.3%だった。
 広津社長は「15年の発表当時から、がん種の特定を目指してきた。他のがん種についても、早期発見が難しい、ニーズの高いものから取り組みたい」と話している。 (C)時事通信社