【ワシントン時事】バイデン米大統領が看板政策に掲げる1兆ドル(約114兆円)規模のインフラ投資を実現させる法律が15日、成立した。次の焦点は、もう一つの看板の子育て支援や気候変動対策を盛り込んだ1兆7500億ドル(約200兆円)規模の大型歳出法案だ。ただ、巨額の財政出動は、現在の記録的な物価高を助長しかねない。与党民主党内で懸念が強まれば、成立が一段と不透明になりそうだ。
 「インフラ投資法とともに、多くの(世帯で)生活が改善する」。バイデン氏は15日、ホワイトハウスで行われたインフラ法署名式典で、議会通過のめどが立っていない大型歳出法案の長所をアピールした。民主党指導部は今週、まず下院での法案可決を目指している。
 もっとも、党内には異論がある。中道派の議員らは、大型歳出法案が可決・成立すれば、政府の借金が膨らみ、景気過熱でインフレもさらに高進することを警戒している。
 中道派の有力者、マンチン上院議員は、10月のインフレ率が31年ぶりの高水準を記録したことを受け、ツイッターで「米国民が日々感じる経済的な痛みをもはや無視できない」と強調した。
 これに対し、バイデン政権のディーズ国家経済会議(NEC)委員長は「大企業や富裕層への増税で全て(の財源を)賄う。大型歳出法案はインフレ圧力を強めない」と述べ、懸念払拭(ふっしょく)に努めた。
 民主党指導部は中道派を説得し切れていない。上院は与野党の勢力が拮抗(きっこう)。法案採決では1票の取りこぼしも許されないだけに、党内の結束は不可欠だ。
 来年11月に中間選挙を控え、バイデン氏の支持率は40%前後に低迷。一部の世論調査では、物価高騰を「バイデン氏の責任」とする声が約半数を占めた。
 このままでは物価高が政治的な「致命傷」となる事態も予想される。インフラ法成立をてこに前進したいバイデン氏は、大型歳出法案が「育児や介護、医療、処方薬などのコストを下げる」と懸命に訴えた。 (C)時事通信社