【ニューデリー時事】アフガニスタンでイスラム主義組織タリバン暫定政権下の混乱が続く中、国連機関が医師や看護師、教師らに対し、タリバンを通さず給与を支払う異例の取り組みを進めている。現場職員に直接支給することで、国際支援の迅速化や、制裁対象のタリバンによる「中抜き」を防ぐ狙いがある。
 タリバンのムジャヒド報道官は15日、地元テレビとのインタビューで、「国連児童基金(ユニセフ)との間で教師の給与支払いで合意した」と語った。ロイター通信は3日、ユニセフがアフガンの教師に直接給与を支払うための交渉を続けていると報じていた。
 ロイターによれば、国連は11日までにアフガン人の医師、看護師ら約2万3500人に給与として計約800万ドル(約9億1000万円)を直接支払った。銀行振り込みのほか、遠隔地に住んでいる場合は現金を支給したという。教師の給与支払いでも、同様の方法が取られる見通しだ。
 国連当局者はロイターに、給与の直接支払いは「前例のないテストだ」と説明。医師や看護師を現場にとどまらせるため「誰かが介入しなければならなかった」と述べた。
 アフガンでは、タリバンが8月に権力を奪取するのに前後し、混乱で公務員給与の支払いが滞り始めた。現在も約100億ドル(約1兆1400億円)に上る中央銀行の在外資産の大半が凍結され、暫定政権の懐事情は厳しい。ムジャヒド氏は15日のインタビューで、給与支払いは「財務省の機構整備後だ。最大3カ月かかる」と釈明した。
 世界食糧計画(WFP)によれば、経済破綻により国民の95%が十分な食料を得られていない。氷点下の厳冬が訪れつつある中、多数の餓死、凍死者が出る恐れがあり、アフガン経済への資金注入は急務となっている。
 タリバンには暫定政権閣僚をはじめ、国連の制裁対象者が多い。現場への給与の直接支給は、タリバンによる国際支援の私物化を防ぐ苦肉の策とも言えそうだ。 (C)時事通信社