米・Stanford University School of MedicineのWilliam F. Fearon氏らは、冠動脈3枝病変を有する患者1,500例を対象に、冠動脈バイパス術(CABG)と冠血流予備量比(FFR)測定ガイド下での経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の治療成績を国際多施設ランダム化比較試験(RCT)で検証。その結果、治療後1年以内の複合脳心血管イベントの発生率に関して、CABGに対するFFRガイド下PCIの非劣性は示されなかったとN Engl J Med2021年11月4日オンライン版)に発表した。

不要なステント留置の回避が期待されるFFRガイド下PCI

 冠動脈3枝病変に対して、PCIよりCABGの治療成績が良好であることがRCTで示されている。しかし、第二世代の薬剤溶出ステントを用いたFFRガイド下PCIとCABGを比較した研究はほとんど行われていない。FFRガイド下PCIは、FFR測定値に基づき機能的に重度の狭窄のみを治療対象とすることで、不要なステント留置とそれに伴う合併症を回避できる利点があるとされている。

 そこでFearon氏らは、48施設において冠動脈3枝病変を有する患者1,500例(平均年齢65歳)を登録し、ゾタロリムス溶出ステント使用のFFRガイド下PCIを施行する群(757例)とCABG群(743例)にランダムに割り付けて治療した。主要評価項目は、治療後1年以内の脳心血管イベント(全死亡、心筋梗塞、脳卒中、血行再建術の再施行の複合)の発生率とした。副次評価項目は死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合イベント、安全性などとした。

複合脳心血管イベント発生率はCABG群6.9%、PCI群10.6%

 解析の結果、FFRガイド下PCI群における留置ステント数(平均値±標準偏差)は3.7±1.9、CABG群における末梢側吻合数は3.4±1.0だった。

 主要評価項目の発生率は、CABG群の6.9%に対しFFRガイド下PCI群で10.6%であり〔ハザード比(HR)1.5、95%CI 1.1~2.2〕、95%CI上限が事前に設定された非劣性マージンの1.65を下回らず、CABGに対するFFRガイド下PCIの非劣性は示されなかった(非劣性のP=0.35)。

 副次評価項目とした複合イベントの発生率は、FFRガイド下PCI群(7.3%)とCABG群(5.2%)で有意差が認められなかった(HR 1.4、95%CI 0.9~2.1)。主要評価項目を構成する各要素の発生率についても有意差はなかった。

大出血、不整脈、急性腎障害はCABG群で増加

 一方、安全性の評価では、FFRガイド下PCI群に比べてCABG群で大出血(1.6% vs. 3.8%、P<0.01)、不整脈(2.4% vs. 14.1%、P<0.001)、急性腎障害(0.1% vs. 0.9%、P<0.04)の発生率が有意に高かった。

 以上を踏まえ、Fearon氏らは「冠動脈3枝病変の患者における治療後1年以内の複合脳心血管イベントの発生率に関して、CABGに対するFFRガイド下PCIの非劣性は示されなかった」と結論している。

 ただし、「今回の試験では、非FFRガイド下PCIとCABGを比較したSYNTAX試験(N Engl J Med 2009; 360: 961-972)と比べ、冠動脈病変数が同程度であるにもかかわらず、FFRガイド下PCIにおいて留置ステント数は予想通り減少していた(3.7 vs. 4.6)」と付言している。

(太田敦子)