日本製薬工業協会の岡田安史会長(エーザイ代表執行役最高執行責任者)はインタビューに応じ、薬価引き下げの影響で、欧米企業が新薬承認の申請を見送り、日本で必要な薬が使えない問題が起きることへの懸念を示した。「日本での承認が少なくなって、ドラッグ・ラグ(薬の未承認・遅延)傾向が見えている」と指摘した。
 製薬協によると、欧米で5年以内に承認された新薬で、日本で未承認の品目数は、2016年の117から、20年には1.5倍の176に増加した。主要国では日本だけが医薬品市場のマイナス成長が予測されており、岡田会長は「優先順位が落ちてきている」と警告する。
 特に問題視するのは、特許期間中でも売上高拡大などで薬価が引き下げられる仕組みだ。「技術革新が評価されないと産業は栄えない。日本に本拠を置いていることのアドバンテージをほとんど感じない」と苦言を呈する。
 事実、欧米の巨大製薬企業は中国に基礎研究開発拠点を整備する一方、日本にあった開発拠点は軒並み撤退。岡田会長は「日本市場が少々刈り取り場みたいになっている」と嘆く。日本の製薬大手でも売り上げの中心や、開発の起点が海外に移っている。
 薬価改定の議論では、薬剤費の増加率の上限を名目GDP(国内総生産)成長率にする案も浮上しているが、岡田会長は「医療費全体の効率性を議論すべきだ」として反対。「医薬品は稼げる可能性を持っている産業。むしろGDP成長をけん引しないといけない」と訴えた。 (C)時事通信社