政府が19日決定した経済対策は、18歳以下への10万円相当の給付など「ばらまき」色の濃い施策が盛り込まれた。「規模ありき」で総額が膨らむ一方、財源論は置き去りにされ、財政規律は脇に置かれた格好だ。新型コロナウイルス禍で傷んだ日本経済の下支えや、中長期的な成長につながる効果的な支出なのか検証が欠かせない。
 岸田文雄首相は先の衆院選で「国民の信任をいただければ、数十兆円規模の総合的かつ大胆な経済対策を最優先で届ける」と訴え勝利。対策の財政支出は、コロナ禍が直撃し景気が落ち込んでいた昨年4月の対策をも上回り、過去最大となった。
 今年7~9月期の実質GDP(国内総生産)は緊急事態宣言の発令などが響き、年率換算で前期比3.0%減だった。政府は年内にコロナ前の水準に回復すると見込むが、景気の足腰は弱い。今回の対策は「経済の底割れを断固として防ぐ必要がある」と明記した。
 目玉の18歳以下への給付は、親の年収制限が960万円と高めに設定された。生活困窮者以外への給付は昨年の特別定額給付金と同様に多くが貯蓄に回り、消費刺激効果が限られる可能性がある。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「困窮世帯への給付なら子育て世代に限定すべきではなく、育児支援なら1回限りでは効果がほぼ期待できない」と政策の意図を疑問視する。
 また、複数年度にわたり研究開発を支援する基金などの創設も盛り込まれた。基金は財政当局の目が届きにくく、無駄の温床になりやすい。運用状況や成果の中長期的なチェックが不可欠だ。
 2020年度一般会計予算の歳出総額は175.7兆円に達したが、執行の遅れで30.8兆円を21年度に繰り越し、巨額の支援策が目詰まりしている。一方、借金への依存は続き、21年度末に990兆円と見込まれていた普通国債残高はさらに膨らみそうだ。国・地方の基礎的財政収支(PB)を25年度に黒字化させる政府の財政健全化目標の達成は絶望的となっている。
 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は「規模が大きくとも本当の意味での経済対策にならない可能性がある」と指摘し、効果について説明するよう政府に注文を付けている。 (C)時事通信社