がん患者が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染すると、重症や死亡のリスクが上昇するとされる。そのため、がん患者に対してもSARS-CoV-2ワクチン接種が推奨されているが、接種後の有効性を検討した報告は少ない。オランダ・University Medical Centre GroningenのSjoukje F. Oosting氏らは、免疫療法、化学療法、化学免疫療法で治療中の固形がん患者を対象に、モデルナ製メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの免疫原性および安全性を検討。がん治療法にかかわらず適切な抗体反応が認められたとLancet Oncol2021年11月9日オンライン版)に報告した。

免疫療法などの影響を検証

 Oosting氏らは、オランダ国内の3施設で前向き多施設非劣性試験VOICEを実施。18歳以上で平均余命12カ月以上の参加者を、①がんに罹患していない者(コホートA、対照コホート)、②免疫療法(抗PD-1/PD-L1抗体単剤と定義)で治療中の固形がん患者(コホートB)、③化学療法で治療中の固形がん患者(コホートC)、④化学免疫療法で治療中の固形がん患者(コホートD)−の4コホートに登録した。

 各コホートの参加者は、モデルナ製ワクチン100μg/0.5mLを28日間隔で2回接種。接種後28日時点に、SARS-CoV-2スパイク蛋白質のS1領域に特異的なIgG抗体反応を測定した。なお、過去にSARS-CoV-2感染歴があり、ベースライン時にSARS-CoV-2陽性〔抗体価が10binding antibody untits(BAU)/mL超〕の者は除外した。

非がんコホートに対し、各治療コホートで非劣性示す

 2021年2月17日〜3月12日に791例を登録、中央値で122日間追跡した。2回接種後28日時点で抗体価が10BAU/mLを上回った割合は、コホートAが100%(240/240例)、コホートBが99%(130/131例)、コホートCが97%(223/229例)、コホートDが100%(143/143例)で、コホートAに対するコホートB、C、Dの非劣性が示された。

 また、ワクチンを少なくとも1回接種した参加者における有害事象については、グレード3以上の重篤な有害事象の発現率はコホートAが0%、コホートBが2%(3/137例)、コホートCが2%(6/244例)、コホートDが1%(1/163例)だった。ワクチンに関連した可能性のある重篤な有害事象は4例認められ、内訳は発熱がコホートC、Dで各1例、下痢がコホートDで1例、発熱性好中球減少症がコホートCで1例だった。ワクチン接種に関連する死亡例はなかった。

 以上の結果を踏まえ、Oosting氏は「免疫療法、化学療法、化学免疫療法で治療中のほとんどの固形がん患者において、モデルナ製ワクチン接種後に適切な抗体反応が得られ、安全性も高かった」と結論している。

(平山茂樹)