【ロンドン時事】世界貿易機関(WTO)は26日、新型コロナウイルスの新たな変異株が確認されたことを受け、30日に開幕予定だった閣僚会議の延期を決めた。重要課題と位置付けるコロナ対策の「緊急性が浮き彫りになった」(オコンジョイウェアラ事務局長)形で、新たな日程の調整を急ぎ、懸案の漁業補助金でも詰めの協議を続ける。
 WTOは26日、臨時の一般理事会で、閣僚会議の延期を決定。日本からは林芳正外相や萩生田光一経済産業相らが出席を決めていたが、取りやめた。オコンジョイウェアラ氏は「会議参加者の健康と安全が最優先だ」と延期の理由を説明。一方で「これで終わるわけではない」と述べ、交渉を継続する方針も確認した。
 ただ直前での延期は、コロナ禍での対面による国際会議開催の難しさを印象付けた。新変異株の感染状況次第では、オンライン会議に切り替える流れが改めて強まる可能性もある。
 延期された閣僚会議では、コロナ対策として、ワクチンや医薬品の特許権を一時放棄させ、途上国に自由な利用を認めるかが焦点となっている。インドと南アフリカが昨年10月に提案し、他のアフリカ諸国や米国も支持を表明した。しかし、欧州連合(EU)が反対して協議は難航している。
 漁業に関しては、過剰漁獲につながる補助金の禁止に向けて合意を目指す。しかし、インドなどが途上国への特別措置を求めて先進国と対立し、議論は平行線が続いている。農業分野では、補助金や関税の削減など具体的な結論を得るのは困難と判断。今後のスケジュールを定めて交渉を再び活性化できるかが焦点となる。 (C)時事通信社