店でお試し、お買い上げはインターネットで―。東京都内のデパートで、店舗をショールームと割り切った「売らない店」を開設する動きが広がっている。コロナ禍で客足が落ち込み、岐路に立たされた百貨店は、ネット通販主体の新興ブランドをそろえ、若者ら新たな客層の開拓を狙う。
 大丸東京店(東京都千代田区)の展示スペース「明日見世(あすみせ)」には、若者の関心が高い「サステナブル(持続可能)」や「地域貢献」をテーマとした約20ブランドの化粧品や衣料品が並ぶ。スタッフの説明を聞き、気に入れば商品横のQRコードをスマートフォンで読み取り、ブランドのサイトを通じて購入する仕組みだ。
 出店者は店頭在庫を用意する負担がなく、手軽に都心へ進出できる。レモンのような香りが特徴のハーブを使ったスキンケア商品を扱うブランドの担当者は、「実際に香りを嗅いで良さを知ってもらえる」と話す。
 西銀座デパート(中央区)に今月26日、フェースパックなどを製造・販売する「CocochiCosme(ココチコスメ)」(東京)が初の実店舗を出した。客が商品を試せるようサンプルを並べた店内は、ライブ配信する商品紹介動画の撮影スタジオとしても利用する予定だ。西銀座デパート幹部は「オンラインとの融合を進めないと生き残れない」と危機感を募らせる。
 一方、西武渋谷店(渋谷区)に9月オープンした「CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベース シブヤ)」は雑貨や化粧品などを取り扱い、店頭でもオンラインでも購入できるが、接客するスタッフはいない。商品説明はQRコードに任せ、客は自分のペースで店内を見て回ることができる。
 「ユニクロ」に代表される専門店やネット通販の台頭で、百貨店売上高は減少傾向をたどり、コロナ禍に見舞われた2020年は約4兆2200億円と、ピークの1991年の半分以下に落ち込んだ。人々の外出自粛も背景に、ビデオ通話を活用したオンライン接客を取り入れるなど、各社は新たな販売スタイルを模索している。 (C)時事通信社