国内初となる感染者が検疫で確認された新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」は、細胞に侵入するときに使う表面の突起「スパイクタンパク」の変異が約30カ所に上る。これら多数の変異により感染力を増すとともに、ワクチンや治療薬が効きにくくなった恐れがある。
 国立感染症研究所はオミクロン株について、デルタ株などと比べ変異に「最も多様性がある」と指摘。多様な変異の一部が、細胞への侵入しやすさを招く恐れがある。実際、最初に見つかった南アフリカではデルタ株からの置き換わりが急速に進む。香港では空気感染の可能性がある事例も報告された。
 従来株の場合、ワクチン接種により体内で作られた抗体がスパイクタンパクと結合し、細胞への侵入を防ぐ。一方、オミクロン株は多数の変異があるため、抗体がうまく結合できない可能性がある。このためワクチンにとどまらず、抗体治療薬の効果への影響も懸念される。
 重症化リスクや致死率の高さは不明だ。世界保健機関(WHO)によると、若年層は重症化しにくいとの報告もあるが、はっきりしたことは分からない。
 感染研は28日、これらの報告を基に、オミクロン株を3段階で警戒度が最も高い「懸念される変異株」に指定し、監視体制を強化。厚生労働省も、検出されたウイルスの全遺伝情報(ゲノム)解析を徹底するよう自治体に連絡した。
 感染症に詳しいけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師は「感染力がデルタ株より強いのは間違いない」とした上で、「今後の流行状況にもよるが、重症化リスクや致死率がデルタ株と同程度なら、3密回避やマスク着用の徹底などで大丈夫ではないか」と話す。ただ、「致死率などがもっと高ければ人出の抑制など、より強力な対策が必要になる」と指摘している。 (C)時事通信社