日本小児科学会、日本産科婦人科学会、日本周産期・新生児医学会など16の関連学会・団体は11月30日、ビタミンK欠乏性出血症を発症しやすい新生児および乳児期早期、胆道系疾患患児に対するビタミンK2製剤の投与法として、哺乳確立時、生後1週時(産科退院)、以降生後3カ月まで1週ごとに11回の計13回内服させる3カ月法などを提言した。これまで同製剤の投与法が混在しており、今回の提言により医療現場や母親の混乱防止を目指すことが狙い。(関連記事「ビタミンK2予防投与の新推奨を取り下げ」)

生後2週以降に頭蓋内出血を来すケースが多い

 新生児期および乳児期早期にはビタミンK欠乏性出血症を発症しやすく、特に胆道閉鎖症などの肝胆道系疾患患児は、頭蓋内出血のリスクが高い。

 その理由として、①ビタミンKは胎盤透過性が低く、出生時の備蓄量が少ない、②出生後早期は肝臓のプロトロンビン合成能が未熟、③母乳はビタミンK含有量が少なく、新生児の腸管内でのビタミンK2産生も期待できない、④ビタミンKの吸収に必要な胆汁分泌が低下する肝胆道系疾患患児では、ビタミンK吸収障害を来す―などが挙げられる。

 新生児・乳児におけるビタミンK欠乏性出血症は、発症時期により臨床像が異なる。生後2週以降に頭蓋内出血を来すケースが多く、生命予後および神経学的予後は不良であるため、次の発症予防策が講じられてきた。

 1つ目は、肝胆道系疾患の早期発見手段として、母子手帳に便色カードを掲載。胆道閉鎖症などの肝胆道系疾患患児に見られる胆汁排泄障害に伴う薄い便の色を示し、生後2週、1カ月、1~4カ月に3回記入してもらうことで医療者および保護者への認識を促した。

 2つ目は、哺乳確立時からビタミンK2製剤(シロップ)を投与し、ビタミンK欠乏性出血症の発症を予防する取り組みである。

3カ月法によるビタミンK過剰の報告はない

 しかし、いずれの予防法にも課題があった。胆道閉鎖症の早期発見は自己肝生存に重要であるにもかかわらず、便色カードの利用法は十分に理解されておらず、適切に利用できるよう意識を高める必要があった。

 ビタミンK2製剤に関しては、投与法が複数存在している。2018年に日本小児科学会新生児委員会が行った調査(対象施設2,341中1,175施設が回答)によると、投与法として①哺乳確立時、生後1週(産科退院時)、1カ月健診時に計3回内服させる3回法が55.6%、②3カ月法が 22.3%、③いずれでもない方法が 22.1%―と施設ごとにばらつきがあった。

 また、同学会は学会員の小児科施設を対象に、2015~17年に在胎36週以上で出生した児におけるビタミンK欠乏症が原因と考えられる出血性疾患の実態を調査。その結果、頭蓋内出血発症は13例(栄養方法:母乳栄養10例、人工栄養1例、不明2例)で、うち11例に胆道閉鎖症などの肝胆道系疾患が認められた。しかし、3カ月法を実施した乳児ではビタミンK欠乏が原因と考えられる頭蓋内出血例はなく、予防の可能性が示された。

 さらに、3カ月法については、ビタミンK過剰の報告もなく、欧米で採用している国が多いこと、日本産婦人科・新生児血液学会や日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会がいずれも推奨していることに鑑み、ビタミンK欠乏性出血症の予防について次の提言を行った。

1)肝胆道系疾患の早期発見のため、母子手帳の便カラーカードの意義を医療者は 理解し、この活用方法を保護者に指導すること

2)哺乳確立時、生後1週または産科退院時のいずれか早い時期、その後は生後3カ月まで週1回、ビタミンK2を投与すること

 なお、2)に関しては、1カ月健診時に人工栄養が主体(おおむね半分以上)の場合は、以降のビタミンK2製剤投与を中止してもよいとしている。

(田上玲子)

日本小児科学会、日本産科婦人科学会、日本周産期・新生児医学会、日本産婦人科・新生児血液学会、日本新生児成育医学会、日本小児科医会、日本小児保健協会、日本小児期外科系関連学会協議会、日本産婦人科医会、日本看護協会、日本助産師会、日本助産学会、日本外来小児科学会、日本小児外科学会、日本胆道閉鎖症研究会、日本母乳哺育学会