新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」対策として日本政府が隔離期間の延長など入国規制を強化したことに、海外に住む日本人の間で不安が広がっている。受験のための帰国への影響を懸念する声が上がっているほか、年末の一時帰国を断念した単身赴任の駐在員もいる。
 ▽「心臓止まる思い」
 インド・ニューデリー近郊に住む女性は、中学3年生の長男が高校受験に備え月内に一時帰国する予定。「国際線が全部止まるのではと心配した。子供は『万が一帰国できなかったら受験はどうなるの』と不安そうだった」と話す。知人の家族も願書提出のため一時帰国を計画しており、「世界中の受験生が心臓の止まる思いをしたのでは」とおもんぱかった。
 小学6年生の息子の中学受験で来年初めに一時帰国を予定している韓国・ソウル在住の主婦は「変異株をめぐる状況が目まぐるしく変わるため、本当に無事帰国できるのか不安」と打ち明ける。
 ▽政府対応に憤り
 ソウルで単身赴任生活を送る40代の男性駐在員は年末の帰国を諦め、航空券をキャンセルした。「1週間ほど帰国し、家族の誕生日を祝うつもりだったが、6日間の隔離が必要となり、意味がなくなった」と肩を落とす。
 オーストラリア・シドニーに単身赴任中で、日本の家族と2年間会っていないという男性も、今月下旬の帰国を「諦めるかもしれない」と語った。施設での隔離期間が延長され自宅で過ごす時間が減る上、年明けには仕事の予定が詰まっており、「自由に動けるのが数日しかない」と嘆く。
 日本政府が航空会社に日本着の国際線の新規予約停止を要請後、一転して撤回したことについて、ニューデリーの男性駐在員は「ウイルスが弱毒なのかどうか判断する間の予約停止は妥当だと思った。むしろ、言ったことをすぐに撤回するトップは印象が悪い」と指摘。ソウルの駐在員は「在外日本人の帰国すら拒否しようとする日本の風潮には違和感がある」と憤った。
 年末年始に一時帰国するタイ・バンコク在住の会社経営、山中義久さん(58)は「私は既に予約していたが、これからの人は政府の方針が二転三転するので混乱している。早めに情報開示してもらいたい」と注文を付けた。 (C)時事通信社