日本到着便搭乗予約の受け付け停止が一時、日本政府から航空会社に要請されるなど国境を閉ざす動きに対し、アフリカが懸念を深めている。渡航制限は経済への打撃が大きい。ワクチン接種が進んでいないアフリカでは今後も注意すべき新型コロナウイルス変異株の出現が続く可能性があるが「変異株発見国に汚名を着せる試みがあるように思う」(ボツワナ保健相)と警戒され始めた。公表をためらう空気が広がれば、いずれ影響は先進国にも及ぶ。
 ◇不当な差別
 変異株「オミクロン株」の存在を世界保健機関(WHO)に届け出たのは南アフリカだ。ラマポーザ大統領は11月28日の演説で、先進国が南アなどからの入国制限に踏み切った事態を受け「南アはもちろんアフリカ南部各国に対する不当な差別だ」と批判した。日本も名指しされた。
 ラマポーザ氏が演説で述べている通り、オミクロン株が最初に姿を現したのはボツワナだ。WHOによると、11月9日に検体が採取された。11日の時点で新たな変異株と判明したと英紙ガーディアンが24日に報じている。
 続いて南アでも検出され、24日にWHOへ報告。翌25日には英国と共に記者会見で世界に公表した。WHOは26日、この変異株を「オミクロン株」と名付けた。
 ◇つるし上げ批判
 28日の演説でラマポーザ氏は「南アの科学者たちの卓越した仕事が、オミクロン株の早期発見につながった」と世界への貢献を強調した。一方で「最初に見つかった国」のボツワナの口は重い。
 ボツワナは、南アが会見した翌26日、「外国籍の4人」の感染確認を認めた。ボツワナの医師がフェイスブックで、この4人はガーナの外交官だと暴露し「なぜボツワナやガーナをつるし上げにするなと世界にはっきり言えないのか」と政府を非難している。
 ボツワナのディコロティ保健相は28日の記者会見でこの問題を問われると、問題を医学ではなく「地政学にしたいのか」と述べ、4人の国籍確認を避けた。一方で「ボツワナ株」と伝える一部報道を非難した。
 ガーナは1日、オミクロン株が国内で初めて確認されたと公表したが、詳細に関しては口を閉ざしている。ラマポーザ氏は演説で「渡航を制限する代わりに、十分なワクチンを手に入れようとする(途上国の)努力を先進国は支える必要があるのではないか」と問い掛けた。 (C)時事通信社