イスラエル・Hadassah Medical CenterのYakir Rottenberg氏らは、固形腫瘍に対する積極的治療中の患者37例において、ファイザー製新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(トジナメラン)追加接種(ブースター接種)後の効果を検討。ほぼ全例でSARS-CoV-2抗スパイク蛋白質に対する抗体価(IgG抗体価)が有意に上昇し、2回目接種後のIgG抗体価が高いほど、また高齢であるほどIgG抗体価が高かったことをJAMA Oncol2021年11月23日オンライン版)のResearch Letterで報告した。

2回目接種から3カ月後のIgG抗体価と比較

 がん積極的治療中の固形腫瘍患者は、健康人と比べて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予後不良リスクが高く、ワクチンに対する免疫応答も低い。化学療法中の患者ではさらに免疫応答が低下するとの報告もある。

 イスラエルでは世界に先駆けて60歳以上を対象にトジナメランの3回目接種を開始。追加接種がIgG抗体価を高く維持し、ブレークスルー感染を減らすのに有効であることを確認している(関連記事「追加接種10~19日で高齢者の抗体価再上昇」)。Rottenberg氏らは今回、積極治療中の固形腫瘍患者においても追加接種の効果が見込めるかを検討した。

 対象は、2021年8~9月にHadassah Medical Centerでトジナメランの3回目接種を受けたがん治療中患者のうち、同意が得られた37例(年齢中央値67歳、範囲43~88歳)。11例(30%)が転移なし、19例(51%)が化学療法中だった。3回目接種から中央値で13日(範囲1~29日)後にIgG抗体価の検査を実施。2回目接種から中央値86日(同30~203日)経過後のIgG抗体価と比較した。

化学療法中や2回目接種で応答低かった患者でも有益

 1例を除く全例が、3回目接種後に抗体陽性となった。さらに、化学療法中か否かにかかわらず、また、2回目接種後の免疫応答が中等度か軽度の患者も含め、ほとんどの患者でIgG抗体価が著明かつ有意に上昇した()。

図. IgG抗体価の変化

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JAMA Oncol 2021年11月23日オンライン版

 多変量線形回帰分析の結果、3回目接種後のIgG抗体価上昇(log10変換後)と関連していた因子は、2回目接種後のIgG抗体価(log10変換後の1AU/mLごとに0.497±0.067AU/mL、P<0.001)、高齢(1歳ごとに0.01AU/mL、P=0.03)だった。性、化学療法の有無、3回目接種後から抗体検査までの期間については有意な関連は認められなかった。

 Rottenberg氏らは「小規模な検討だが、積極的全身療法中のがん患者に対するトジナメラン追加接種は全体的に有益で、迅速な抗体応答が得られることが示唆された」と結論づけている。

 また今回の知見に加え、イスラエルの高齢者においてトジナメラン追加接種後にCOVID-19確診例と重症例が減少したこと、固形臓器移植例などワクチンに対する免疫応答が低いとされる他の集団において、3回目接種後に十分な免疫応答が速やかに得られていることに触れ、「追加接種は、変異ウイルス出現時の感染リスク緩和において重要である」と付言している。

(小路浩史)

  • 同症例は40歳代で慢性疾患はなく、パクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ治療後、 dose-dense(投与間隔短縮)ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)による補助療法中だった