財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は3日、2022年度予算編成に関する建議(意見書)を取りまとめ、鈴木俊一財務相に提出した。建議は、新型コロナウイルス対策に伴い、3度の補正予算編成で73兆円の歳出を追加した昨年度の対応について「戦後最大の例外」と強調。今後は経済と財政の「正常化」に取り組むよう求めた。
 建議は、日本が直面する「三つのリスク」として、(1)地震などの自然災害(2)感染症(3)諸外国の金融緩和縮小に伴う金利上昇―を指摘。その上で、「危機に対応できる財政余力を確保しておくことが不可欠だ」と訴えた。
 また、25年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政健全化目標について、「凍結といった方針転換を行うことなく、歳出・歳入両面から改革を進めるべきだ」と表明。コロナ禍の影響を受けた企業や家計に対する当面必要な支援と財政健全化目標は「両立可能だ」との認識を示した。
 膨張する社会保障費をめぐり、2年に1度行われる診療報酬改定について、医師の人件費などに当たる「本体部分」のマイナス改定を要請。自民党が衆院選公約で増額を掲げた防衛関係費については、「財政の現実から目をそらして防衛力整備を行えば、国民生活を圧迫し、総合的な国力の低下を招きかねない」とくぎを刺した。
 財務省は建議を受け、年末に向けた予算編成作業を本格化させる。22年度一般会計予算は各省庁からの概算要求段階で既に過去最大の111兆円超に膨らんでおり、21年度(106兆6097億円)を上回り、10年連続で過去最高を更新する見通し。来年夏に参院選を控え、与党から歳出拡大圧力が高まる中、「財政の正常化」に踏み込めるかが焦点となる。
 財政審の榊原定征会長は建議提出後に記者会見し、「25年度のプライマリーバランス黒字化の旗をしっかりと堅持していくことを声高に主張していきたい」と強調した。 (C)時事通信社