新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種で、2回目からの間隔を6カ月に前倒しする対象の拡大について、自治体からは前向きな受け止めが相次いでいる。新たな変異株「オミクロン株」の世界的な広まりに警戒感が高まっているためで、対象には「高齢者らを優先すべきだ」との声が聞かれる。ただ、接種事務を行う担当者からは「準備が間に合わない」との悲鳴も上がる。
 国は11月中旬、「原則8カ月」としてきた間隔について、自治体の判断で「最短6カ月」も認めたものの、下旬には一転して医療機関などでのクラスター(感染者集団)発生時に限定。ところが「クラスターが出てからでは遅い」との批判や、オミクロン株の拡大を受け、再び対象拡大にかじを切り、範囲を検討している。
 これに対し、大阪府の吉村洋文知事は3日、記者団に「ぜひ(対象を)広げるべきだ」とした上で、「もっと早く方針決定すべきだった」と政府の対応の遅さを指摘。介護施設入所者や入院中の高齢者などを対象とするよう求めた。愛知県の大村秀章知事も同日の記者会見で「感染リスクの高い医療従事者や高齢者など」を明示し、前倒し接種を訴えた。県は同日、国に対し、体制が整備できた自治体から順次前倒しできるよう求める要請文を提出した。
 東京都の小池百合子知事は先月末、「2回目接種から7カ月経過すると抗体がかなり減少する」と独自の分析を示した。東京や愛知などは大規模接種会場を開設し、接種の迅速化を目指す。
 一方、全国知事会の平井伸治会長(鳥取県知事)は前倒し接種を評価しつつも、「ワクチンをたくさん持っている団体だけが先に進むことはあまり合理的ではない」と懸念。「市や町が前倒しで対応できるか」(斎藤元彦兵庫県知事)「(国からの)ワクチン供給に制約される」(西脇隆俊京都府知事)といった声も上がる。
 実際、都内で人口が最多の世田谷区では、国の方針転換を踏まえ、まずは高齢者施設で前倒し接種の検討を進めるが、担当者は「非常に時間がない」と焦りを隠せない。
 「急に6カ月と言われても事務的に間に合うはずがない。ワクチンの供給スケジュールをはっきりと出していただかないと踏み切れない」。23区の区長でつくる特別区長会の山崎孝明会長(江東区長)は3日、緊急記者会見でこう訴えた。 (C)時事通信社