【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が、物価高騰を受けて新型コロナウイルス危機対応の金融緩和策を終える「地ならし」を始めた。ただ、コロナの打撃が雇用回復の重い足かせとなる中、新たな変異株「オミクロン株」のリスクが浮上。FRBが描く金融政策の正常化シナリオが修正に追い込まれかねない。
 米労働省が3日発表した11月の雇用統計は、景気動向を反映する非農業部門の就業者数が前月から21万人増加。レジャー・接客といったコロナの影響を大きく受けた業種の改善が鈍く、増加幅は10月の半分以下にとどまった。
 さらに、働く意欲のある人の割合を示す労働参加率は61.8%と、依然としてコロナ危機直前の水準に戻っていない。コロナで託児サービスが使えず、母親らが職場復帰をためらっていることが要因とされる。
 こうした中で、米国でもオミクロン株の感染が広がっている。経済活動が制約される大規模な流行になれば、雇用回復が頓挫しかねない。
 米国のインフレ率は6%超と31年ぶりの高水準に達し、パウエルFRB議長は金融政策の軸足をインフレ抑制に移している。国債など資産購入を通じた量的緩和策の終了時期を当初の来年6月から前倒し、早期利上げに備える意向だ。
 だがオミクロン株が猛威を振るえば、緩和を撤回して金融を引き締める政策の正常化シナリオに不透明感が増すのは必至。国際通貨基金(IMF)は「不確実性が非常に高ければ政策当局者は方針を修正すべきだ」(ゴピナート調査局長)と訴えている。 (C)時事通信社