岸田文雄首相の6日の所信表明演説は、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」のリスクへの先手の対応を強調した。経済社会活動の再開には「時間がかかる」と国民に理解を求め、コロナ対応と経済再生の二兎(にと)を追って失敗した前政権の轍(てつ)を踏むまいとする姿勢をにじませた。
 就任から10日後に衆院を解散した首相としては、政策を実行するのはこれから。演説では、直前に世界に拡大したオミクロン株への警戒を前面に出し、「細心かつ慎重」に対応すると強調。自民党が事実上勝利した先の衆院選を踏まえ「国民からの負託は、こうした覚悟で仕事を進めるためにいただいた」と訴えた。
 ワクチン接種をめぐり「原則8カ月後」としてきた2回目完了から3回目接種までの期間について、これまでの慎重姿勢を一転させ「できる限り前倒しする」と表明。水際対策で外国人入国を原則停止した判断と併せ、機敏な対応をアピールした。ただ、日本着の国際線の新規予約停止要請を撤回した問題では、政府内の調整不足も露呈。政権に課題を突き付けた。
 首相はコロナを克服した後に看板政策「新しい資本主義」の実現を目指すとした。一方、過去最大の歳出規模となった2021年度補正予算案は「ばらまき」感が否めず、首相が掲げる「成長と分配の好循環」とどう結び付くのかは不透明だ。首相には演説で訴えた政策を具体化する実行力が問われる。 (C)時事通信社