岸田文雄首相は所信表明演説の序盤で、中国の古典から「遠きに行くには、必ず邇(ちか)きよりす」の言葉を引用しながら、「必要な財政支出はちゅうちょなく行う。経済あっての財政で、順番を間違えてはならない」と訴えた。新型コロナウイルス対策などで過去最大規模となった経済対策の重要性を強調。ぬぐえぬ「バラマキ」批判に真っ向から反論した形だ。
 今回の演説は「具体的な政策を丁寧に説明する」(政府高官)ことを重視したという。個別政策の紹介に紙幅を割いた結果、全体の分量は9000字近くに及び、過去10年間で最長の水準となった。
 特に力を込めたのが「新しい資本主義」だ。過度な市場依存によって「格差や貧困が拡大し、気候変動問題が深刻化した」とこれまでの弊害を指摘。新たな取り組みを明治維新や戦後の高度経済成長に続く「数世代に一度の歴史的挑戦」と位置付け、「日本の底力を示そうではないか」と呼び掛けた。
 演説の終わりには、政権が掲げる「聞く力」の象徴として重視する車座対話で、高校の授業を体験した際のエピソードを紹介。首相自身は不慣れなタブレット端末を使いこなす生徒の姿に、「日本の未来を切り開く『人』の可能性を感じた」と振り返り、「一人ひとりが力を存分に発揮することで、日本は大きく変わることができる」と強調した。 (C)時事通信社