岸田文雄首相は6日、所信表明演説を衆参両院本会議で行った。先の衆院選で国民の「負託」を受けたとして、まずは新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」への対応に「最悪の事態」を想定して当たると表明。ワクチン接種に関し、原則的に8カ月とする2回目と3回目の間隔を可能な範囲で短縮する方針を示した。今後はコロナ対策や経済再生などで結果を問われる。
 首相の所信表明演説は10月に続き2回目。外交・安全保障分野では前回直接の言及がなかった「敵基地攻撃能力」の保有検討を明言し、「あらゆる選択肢を排除せず現実的に対応する」と訴えた。
 オミクロン株対策に関し、首相は全ての外国人の新規入国を原則禁止したことに触れ、「批判は全て負う覚悟だ」と強調。また、感染第5波で医療が逼迫(ひっぱく)した教訓を踏まえ、今夏に比べ1万人増の約3万7000人が入院できる体制を確保したと説明した。
 コロナ対策の「切り札」と期待する飲み薬タイプの治療薬について年内の薬事承認を目指す考えを表明。中長期的にはワクチンや治療薬の迅速な承認に向けて法整備を進める意向を示した。従来のコロナ対応を検証し、来年6月までに「司令塔機能強化を含めた抜本的体制強化策」をまとめることも明らかにした。
 首相は「危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行う」と述べ、補正予算として過去最大の歳出額となった2021年度補正予算案成立に協力を要請。経済社会活動の再開には「まだ時間がかかる」とした一方、「Go To事業など消費喚起策を行う準備を進める」と述べた。
 経済政策に関しては、市場原理重視の新自由主義により格差や貧困が拡大したと指摘し、「弊害の是正」に決意を表明。「新しい資本主義」実現の一環として、地域活性化を通じた成長戦略の推進を掲げた。同時に、賃上げした企業の税額控除率を「大胆に引き上げる」と分配にも重きを置く立場を強調した。
 首相は日本を取り巻く厳しい情勢を踏まえ、13年に初めて策定された「国家安全保障戦略」を1年程度をかけて改定すると説明。経済安保に取り組む姿勢も示した。
 早期訪米により米国との関係を強化する一方、中国とは「建設的かつ安定的な関係」を目指すと語り、安倍政権以来の方針を基本的に踏襲。独自色として「核兵器のない世界」に意欲を見せた。
 憲法改正については国会の論議に「心から期待する」とし、「国民理解の深化が大事だ。広く議論を喚起していこう」と呼び掛けた。 (C)時事通信社