路上生活者やネットカフェで寝泊まりする人たちにも新型コロナウイルスワクチンを接種してもらおうと、支援団体や自治体による取り組みが進められている。住民登録がないなど接種券が届かない人が対象で、関係者は「誰一人取り残さない社会を実現してほしい」と政府に支援を訴える。
 東京都豊島区は認定NPO法人「世界の医療団」などと連携し接種会を企画。職員らが公園や路上、ネットカフェを回り、ワクチン接種を呼び掛けた。住民票に基づいて送付される接種券を持たない人が対象で、生年月日と氏名を伝えるだけで接種を受けられるようにした。
 11月27日夜に2回目の接種を受けた女性は、居酒屋で働いていたが、コロナの影響で退職を余儀なくされたという。生活保護を受けながら仕事を探しているが、求人募集に申し込むと接種証明の提示を求められるとし、「これで警備会社の面接を受けられます」とほっとした様子だった。
 ネットカフェに寝泊まりしているという寺島幸治さん(40)は、2年前に体調不良で造園会社を退職した。現在は雑誌の路上販売で生計を立てるが、度重なる外出自粛要請で、人出とともに収入は減少した。2回目の接種証明を手に笑顔を見せたが、「新しい変異株がはやると、人出が少なくなるかもしれない」と懸念する。
 この日は厳しい冷え込みにもかかわらず、64人が接種に訪れた。会場となった池袋保健所の沢田健司課長は「感染者が減ったとはいえ、ワクチン需要はある。第6波も懸念され、不安を抱えている方はいる」と指摘。世界の医療団の米良彰子日本事務局長は「貧困が拡大する中、ワクチンを受けられない人がまだいる」と話した。 (C)時事通信社