米・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのBarbra A. Dickerman氏らは、同国で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)アルファ株の流行期間にファイザー製ワクチン トジナメランまたはモデルナ製ワクチン(mRNA-1273)を接種した者の電子医療記録を用い、両ワクチンの有効性を直接比較。その結果、mRNA-1273群はトジナメラン群に比べて1回目接種後24週時点のSARS-CoV-2感染、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症、COVID-19による入院、集中治療室(ICU)入室、死亡のリスクが低かったとN Engl J Med2021年12月1日オンライン版)に発表した。また、症例数が少ないため推定精度は低いものの、デルタ株の流行期間においてもmRNA-1273群で感染リスクが低かったという。

絶対リスクはファイザー製、モデルナ製とも低い

 解析対象は、アルファ株が流行の主流を占めていた2021年1月4日~5月14日に、トジナメランまたはmRNA-1273を接種した18歳以上の米国の退役軍人。1月4日時点でワクチン接種歴があった者、ワクチン接種前にSARS-CoV-2に感染した者、長期療養施設の入所者は除外した。

 VAの全国医療データベースから、ワクチン接種日、年齢(中央値69歳)、性(男性92.7%)、人種(白人74.5%)、居住地域(都市部73.2%)をマッチングさせた各ワクチン接種群21万9,842人、計43万9,684人を抽出し、解析に組み入れた。トジナメラン群の99%とmRNA-1273群の98%が2回目接種を完了しており、重症COVID-19の危険因子の保有率は両群でほぼ同等だった。

 評価項目はSARS-CoV-2感染、症候性COVID-19発症、COVID-19による入院、COVID-19によるICU入室、COVID-19による死亡の5項目とした。

 解析の結果、トジナメラン群とmRNA-1273群ともに各評価項目の1回目接種後24週時点の絶対リスク(1,000人当たり)は低かった〔SARS-CoV-2感染(それぞれ5.75人、4.52人)、症候性COVID-19発症(1.57人、1.13人)、COVID-19による入院(1.33人、0.78人)、ICU入室(0.36人、0.26人)、死亡(0.22人、0.20人)〕()。

表. トジナメラン群とmRNA-1273群の有効性の比較(アルファ株流行期に検討)

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N Engl J Med2021年12月1日オンライン版

トジナメランは感染リスクが27%、入院リスクが70%高い

 1回目接種後24週時点におけるmRNA-1273群に対するトジナメラン群のリスク差(1,000人当たり)は、SARS-CoV-2感染で1.23人(95%CI 0.72~1.81人)、症候性COVID-19発症で0.44人(同0.25~0.70人)、COVID-19による入院で0.55人(同0.36~0.83人)、ICU入室で0.10人(同0.00~0.26人)、死亡で0.02人(同-0.06~0.12人)と、いずれも高かった。

 同様に、mRNA-1273群に対するトジナメラン群のリスク比は、SARS-CoV-2感染で1.27(95%CI 1.15~1.42)、症候性COVID-19発症で1.39(同1.21~1.70)、COVID-19による入院で1.70(同1.42~2.24)、COVID-19によるICU入室で1.38(同1.01~2.42)、COVID-19による死亡で1.11(同0.69~1.91)と高かった。

mRNA量、接種間隔、脂質ナノ粒子組成などが関係か

 また、デルタ株に対する有効性の比較においても、症例数が少ないため推定精度は低いものの、トジナメラン群ではmRNA-1273群に比べてワクチン接種後12週時点のSARS-CoV-2感染リスク(1,000人当たり)が高く、リスク差は6.54人(95%CI -2.58~11.82人)、リスク比は1.58(同0.85~2.33)だった。

 以上を踏まえ、Dickerman氏らは「アルファ株の流行期間において、トジナメラン群はmRNA-1273群に比べて1回目接種後24週時点のSARS-CoV-2感染リスクが27%、COVID-19による入院リスクが70%、それぞれ高かった。また、症例数が少ないため推定精度が低いものの、デルタ株の流行期間においてもトジナメラン群はmRNA-1273群に比べてSARS-CoV-2感染リスクが高かった」と結論。「1回分のワクチンに含まれるmRNA量(mRNA-1273 100μg vs.トジナメラン30μg)、1回目と2回目の接種間隔(同4週間 vs. 3週間)、脂質ナノ粒子の組成などの違いにより、有効性に差が生じた可能性がある」と考察している。

(太田敦子)