地方銀行99行(単体ベース)の2021年9月中間決算は、80行が増益・黒字転換という好調な結果となった。新型コロナウイルス禍に対応した資金繰り支援で本業の融資業務が好調だったほか、企業倒産に備える与信費用が減少したことが主因。
 一方、先行きについては、「中間決算は好調だったが、コロナの影響で不透明感があり、通期計画は変えない」(米本努・千葉銀行頭取)と慎重姿勢を崩していない。コロナ禍に苦しんだ取引先の事業再建を順調に進められるかどうか正念場を迎える。
 99行の純利益の合計は前年同期比32.9%増の5307億円、本業のもうけを示す実質業務純益は、13.0%増の7079億円となった。実質無利子・無担保融資など政府や民間による資金繰り支援が功を奏し、「今のところ大型倒産は出ていない」(藤原一朗・名古屋銀行頭取)。与信費用は38.9%減の890億円にとどまった。ただ、先行きを見通すと好調な決算も手放しでは喜べない状況だ。
 「嵐の前の静けさかもしれない」。豊和銀行の権藤淳頭取は、取引先の資金需要が落ち着いた現状をこう表現する。金融機関が資金繰りで企業を支える段階は終わり、「事業の立て直しの支援をする段階に差し掛かっている」(鈴木隆・仙台銀行頭取)ためだ。「コロナ融資は赤字(を埋めるための)資金。本業を回復させ利益が伸びなければ返済できない」(平井耕司・鳥取銀行頭取)と切迫感も募る。
 また企業の業況は、同じ業種や地域の中でもばらつきが鮮明になりつつある。「個社ごとにしっかり見ていく姿勢が大事だ」(池田直樹・十六フィナンシャルグループ社長)。取引先のニーズや課題を把握し、解決につなげられるか、地銀の底力が試されている。 (C)時事通信社