18歳以下の子どもに現金とクーポンで5万円ずつ給付する施策をめぐり、政府の対応が迷走気味だ。松野博一官房長官は、クーポンを使わずに10万円全額を現金で支給する方式を広く容認したと取れる発言をしたにもかかわらず、大阪市が10万円一括支給の方針を打ち出すと、それは認められないとブレーキをかけた。実務を担う自治体の現場は混乱しそうだ。
 「半分現金、半分クーポンの配布では、経費は膨らみ、市町村の手間も非常にかかる。10万円一括支給を認めてはどうか」。立憲民主党の泉健太代表は8日の各党代表質問で、現金・クーポン併用方式の見直しを要求した。
 併用方式は岸田政権が初めてまとめた経済対策に盛り込まれた。年内にも現金で5万円、来春に向けてクーポンで5万円を給付すると明記している。ただ、併用方式には事務経費967億円が必要となり、事務負担も増すことから、自治体の間では「(クーポン分は)実情に応じて現金給付も可能とする」との例外規定に基づき、全額現金方式を模索する動きが広がりつつある。
 政府は当初、こうした動きを容認していた。松野長官は7日の記者会見で全額現金方式を打ち出した群馬県太田市の例を問われ、「クーポンが基本」としつつ、「現金給付も可能」と述べていた。
 ところが、大阪市の松井一郎市長が10万円を27日に一括支給したいと表明すると、松野長官は姿勢を一変させた。8日の会見では「現金とクーポンはそれぞれ別の給付措置。同時に支給することは想定していない」とくぎを刺した。歯止めが利かなくなると懸念したとみられる。
 全額現金方式はどのような場合に認められるのか。岸田文雄首相は8日の各党代表質問で「具体的な運用方法を検討していく」と表明したが、期限を切っておらず、自治体には困惑が広がる。松井市長は8日、大阪市で記者団に「今週中には答えが欲しい。準備ができない」といら立ちをあらわにした。 (C)時事通信社