内閣府が8日発表した2021年7~9月期の実質GDP(国内総生産)改定値は、年率換算で前期比3.6%減となり、速報値(3.0%減)から下方修正された。季節要因を取り除く統計上の処理方法見直しに伴い、個人消費を下方修正したのが響いた。新型コロナウイルスの感染は下火で、10~12月期以降の景気回復が期待されるが、新たな変異株「オミクロン株」の出現など先行きのリスクも少なくない。
 7~9月期は季節要因の処理方法見直しで、設備投資と輸出のマイナス幅が縮小した。だが、夏場の爆発的なコロナ感染に加え、サプライチェーン(供給網)の混乱による自動車の大幅減産で、内外需が総崩れの姿は変わらない。
 足元ではワクチン接種の普及で経済活動の正常化が進む。SMBC日興証券は個人消費や設備投資の持ち直しで、10~12月期に前期比年率5.6%増、22年1~3月期は7.7%増の高成長を予想する。ただ、オミクロン株はワクチンの有効性など不明な点も多く、「コロナ禍の制御に失敗し、緊急事態宣言が再発令され、政府の観光支援事業『Go To トラベル』の再開が見送られれば、景気は下振れする」と指摘する。
 さらに、同時進行する資源高と円安も逆風だ。みずほリサーチ&テクノロジーズは21年度に企業収益を6.5兆円押し下げ、家計の負担を2.5兆円増やすと試算する。
 7~9月期の年率換算の実質GDP実額は532兆円。ニッセイ基礎研究所は、直近のピークである19年4~6月期(557兆円)の水準を上回るのは23年4~6月期にずれ込むと予想する。日本経済の完全復活の道のりは遠い。 (C)時事通信社