自民、公明両党が10日決定する2022年度税制改正大綱は、岸田文雄政権の看板である「成長と分配の好循環」の実現に向け、賃上げを行った企業の優遇強化などが盛り込まれた。一方、新型コロナウイルス対策で巨額の財政出動を繰り返しているにもかかわらず、財源確保の議論は深まっていない。厳しい経済情勢に配慮し、抜本的な税制改革は先送りされた格好だ。
 「経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」。政府が閣議決定した22年度予算編成の基本方針は、自民党の強い要求を受けて、財政健全化よりもコロナ禍への対応を重視する姿勢を強調している。来年夏に参院選を控え、同党内では積極財政派が勢いを増し、国民の負担増につながる議論は封じられている。
 今回の税制改正では、岸田首相が当初掲げていた金融所得課税の強化について、23年度改正以降に議論を先延ばし。二酸化炭素(CO2)排出量に応じた炭素税の本格導入は、経済界の慎重論を踏まえて検討を見送った。その半面、賃上げ税制やベンチャー企業への出資促進策といった既存の優遇措置は拡充や延長が相次いだ。
 今臨時国会には、一般会計の歳出総額が35.9兆円と過去最大の21年度補正予算案が提出された。同年度末の普通国債残高は1000兆円を突破する見込み。高齢化の加速で社会保障費の増加は避けられず、自民党の宮沢洋一税制調査会長は「持続性のある形で財政運営ができるのが大変大事だ」と指摘している。歳入改革などを通じ、必要な税収確保の道筋を示せるかが今後の焦点となる。 (C)時事通信社