米・Washington UniversityのLeonard B. Bacharier氏らは、中等度〜重度の喘息を有する6~11歳の小児408例を対象に、モノクローナル抗体デュピルマブの有効性と安全性を評価する国際プラセボ対照第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)Liberty Asthma VOYAGEを実施。その結果、デュピルマブの追加投与を受けた患者は、プラセボを投与された患者に比べて喘息の増悪リスクが約60%少ないなどの有効性が示されたとN Engl J Med2021; 385: 2230-40)に発表した。

日本では12歳以上が保険適用

 デュピルマブはヒト型モノクローナル抗体で、成人および若年者の喘息に加え、アトピー性皮膚炎や鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎などの2型炎症性疾患の治療薬として承認されている。日本での適用は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎患者や、中用量または高用量の吸入ステロイド薬(ICS)とその他の長期管理薬を併用しても、全身性ステロイド薬の投与などが必要な急性増悪を来す12歳以上の患者となっている。

 Bacharier氏らは今回、中等度〜重度の小児喘息患者に対するデュピルマブの有効性および安全性を検討するため、RCTを実施した。

 対象は、6~11歳のコントロール不良な喘息患者408例で、デュピルマブ群(273例)またはプラセボ群(135例)にランダムに割り付け、それぞれデュピルマブ(体重30kg以下には100mg、30kg以上は200mg)またはプラセボを2週間ごとに52週間投与した。追跡期間の中央値は365日で、対象者はこの期間、標準療法も継続した。

 組み入れ基準は、①中用量のICSと第二の調節薬の併用、または高用量のICS単独もしくは第二の調節薬との併用のいずれかを最低1カ月間安定用量での投与履歴がある、②過去1年以内に最低1回の重篤な増悪があり、スクリーニングおよびベースライン時の1秒量(FEV1)が予測値の95%以下、FEV1の可逆性が10%以上である-こととした。

 主要評価項目は重度の喘息増悪の発生率(年換算)、副次的評価項目は12週目の予測FEV1(ppFEV1)のベースラインからの変化、24週目の喘息コントロール質問票(ACQ-7-IA)のスコア。解析対象は、①ベースライン時に2型炎症性喘息の表現型(血中好酸球数が150個/mm3以上または呼気一酸化窒素濃度が20ppb以上)を呈する、②血中好酸球数が300個/mm3以上-の2つの集団とした。

肺機能と喘息のコントロールが改善

 解析の結果、①の患者における重度の喘息増悪の発生率は、デュピルマブ群で0.31(95%CI 0.22~0.42)、プラセボ群で0.75(同0.54~1.03)だった。プラセボ群に対するデュピルマブ群の相対リスク減少率は59.3%(95%CI 同39.5~72.6%、P<0.001)。

 ②の患者における重度の喘息増悪の発生率は、デュピルマブ群で0.24(95%CI 0.16~0.35)、プラセボ群で0.67(95%CI 0.47~0.95)とデュピルマブ群で相対リスク減少率が有意に大きかった(64.7%、95%CI 43.8~77.8%、P<0.001)。

 また、ppFEV1のベースラインからの平均変化率〔±標準誤差(SE)〕は、デュピルマブ群で 10.5±1.0%ポイント、プラセボ群で 5.3±1.4%ポイントであった(平均差5.2%ポイント、95%CI 2.1~8.3%ポイント、P<0.001)。ACQ-7-IAスコアによる評価においても、デュピルマブはプラセボに比べて有意に優れた喘息コントロールをもたらした(P<0.001)。

 ベースライン時の好酸球数が300個/mm3以上であった患者でも、ppFEV1とACQ-7-IAスコアによる評価は同様の結果だった。

 なお、重篤な有害事象の発生率は両群で同等であった。

 以上のように、コントロール不良の中等度〜重度の喘息患児において、デュピルマブの追加投与を受けた患者は、プラセボを投与された患者に比べて、喘息の増悪が少なく、肺機能と喘息のコントロールが良好であった。

 今回の結果について、Bacharier氏は「この年齢層では生物学的製剤の追加投与に関するRCTはほとんど行われておらず、デュピルマブの追加投与が肺機能に対して臨床的に意味のある効果をもたらすことが分かった」と述べている。

(今手麻衣)