インフルエンザの患者数が異例の低水準で推移している。例年なら今の時期に流行入りしているが、今季は昨季と同様、報告数は全国的に極めて少ない。手洗いやマスク着用などの新型コロナウイルス対策が奏功したとみられる。一方で増加傾向の感染症もあり、専門家は警戒を呼び掛ける。
 インフルエンザは例年、11~12月に流行入りし、1~2月にピークを迎える。厚生労働省によると昨季(2020年9月~21年2月ごろ)の推定患者は約1万4000人で、例年の1000万~2000万人程度より大幅に少なかった。19~20年のシーズン(約728万5000人)比では、わずか約0.2%だった。
 厚労省は全国約5000の医療機関からの患者報告数を公表しているが、今年は9月6日~今月5日で計189人にとどまる。昨年同期は計263人で、今季は流行入りしなかった昨季よりさらに少ない。両シーズンともに3密回避や手洗い、マスク着用の徹底などが激減の理由とみられる。
 昨季の感染者が少なかったことから「社会全体の集団免疫が形成されていない」(日本感染症学会)とされる。「これから流行するリスクはある」(国立感染症研究所の脇田隆字所長)ため、新型コロナとの同時流行も懸念され、同学会は両ワクチンの接種を訴える。
 感染研によると、インフルエンザの感染者が少ない一方、接触感染などにより子どもを中心に夏に流行することが多い手足口病やヘルパンギーナ、感染性胃腸炎の感染者は増加傾向だ。これらも昨季は感染者が少ないため多くの人に免疫がない上、活発に動く子どもを接触感染から完全に守るのは難しいことから増加が続く恐れがある。
 新潟大の斎藤玲子教授(公衆衛生学)はインフルエンザについて「(新型コロナの変異株)オミクロン株拡大に伴う水際対策強化により、流行につながり得る海外からの人の流入は大幅に制限されている。今の感染対策が続くなら今季の流行リスクは低いのでは」と分析。「インフルエンザや手足口病など全てに共通するが、手洗いやマスク着用の徹底などの基本的な感染対策を続けるのが一番重要だ」と訴える。 (C)時事通信社