体外受精で得られた受精卵の染色体の数を全て調べ、問題のないものを子宮に戻す「着床前検査」について、日本産科婦人科学会(日産婦)は11日、不妊治療としての実施対象を、流産を繰り返すなど三つの場合に限定することを決めた。同日の理事会で承認された。来年1月の総会で見解を改定し、同4月にも新たな運用が始まる予定。
 染色体異常は不妊症や、流産を繰り返す原因となる。着床前検査は不妊治療として一定の有効性があるとされる一方、染色体異常のない受精卵を選び戻すため「命の選別」になるとの批判も強い。日産婦は臨床研究に限り実施を認めてきた。
 臨床研究の結果、全体の出産率が高まるかは明確でないが、流産率を低下させる可能性があることが判明。そのため日産婦は、流産・死産を2回以上経験したり、体外受精が連続2回以上失敗したりした場合などに実施を認めることにした。年齢制限は設けない。
 11日の理事会では、重い遺伝病を避けるために受精卵を選別する「着床前診断」についても、成人後に発症する病気も対象に含む方針を承認した。着床前検査と同様、来年4月にも運用が始まる見通し。 (C)時事通信社