筋萎縮性側索硬化症(ALS)は不可逆的な神経変性疾患であり、ALSに関連する危険因子として、コンタクトスポーツなどに伴う反復性頭部衝撃(RHI)や外傷性脳損傷(TBI)などが指摘されている。米・Boston University's Chronic Traumatic Encephalopathy(CTE) CenterのDaniel H. Daneshvar氏らが米国プロアメリカンフットボールリーグ(National Football League;NFL)の選手を対象に調査したところ、ALSの有病率および死亡率は同国一般男性の約4倍であり、ALSを発症した選手は非ALS選手よりもNFLでの現役期間が長く、NFLでのプレー期間とALS発症の関連性が示唆されたことをJAMA Net Open(2021年12月15日オンライン版)にて報告した。

NFLでの現役期間とALSに有意な関連

 Daneshvar氏らは、1960〜2019年にプロデビューし1試合以上に出場した引退後および現役のNFL選手1万9,423人(年齢23〜78歳)を対象に、2020年10月3日〜21年7月19日におけるALS有病率および死亡率を算出した。さらに副次的評価として肥満度、NFLでの現役期間、人種、出生地などとの関連を調査した。

 ALS有病選手は38人(平均年齢51.0±13.8歳)であり、死亡したのは28人で、死因が明らかな23人のうちALSが死因であったのは22人。平均52.5±13.8歳でALSと診断された後、3.5±2.6年間生存していた。年齢と人種を調整後の米国一般男性人口に比べNFL選手におけるALS有病率は3.59倍(95%CI 2.48〜4.93)、死亡率は3.94倍(95%CI 2.62〜5.69)と有意に高かった。

 また、ALS有病選手におけるNFLでの現役期間は平均7.0年であり、非ALS選手の平均4.5年より有意に長かった(オッズ比 1.2、95%CI 1.1〜1.3、P<0.001)。ALSを発症した選手と非ALS選手におけるプロデビュー時のBMI、人種、試合出場回数、NFL殿堂入りの人数、ポジション、出生地に違いは見られなかった。ロジスティック回帰分析を行ったところ、ALS発症とNFLでの現役期間、デビュー年との間に有意な関連が認められたが、人種やBMIとの関連は認められなかった。

 同氏らは、本研究はNFL選手のALS有病率およびNFLでの現役期間が長いほどALS有病率が高まることを示した初めての研究であると述べている。

長谷川愛子