先月(2021年11月)25日、抗PD-1抗体ニボルマブ+化学療法の併用療法について、「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」および「食道がんの術後補助療法」への適応拡大が承認された。 また同日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ+化学療法の併用療法について、根治切除不能な進行・再発の食道がんに対する一次治療としての適応拡大が承認された。これを受け、日本胃癌学会が「胃癌治療ガイドライン速報」を、日本食道学会が「食道癌治療ガイドライン速報」をそれぞれ公式サイトで公表した。

CPS 5以上のHER2陰性胃がん・胃食道接合部がんへのニボルマブ併用を推奨

 今回の治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対するニボルマブと化学療法併用の承認は、第Ⅲ相非盲検ランダム化比較試験CheckMate-649、および第Ⅲ相ランダム化比較試験ATTRACTION-4の結果に基づく(関連記事「未治療胃・食道がんへのニボ+化学療法、長期OSも改善」「進行胃がん初回治療、ニボ+化学療法の可能性」)。

 HER2陽性例を除く未治療の切除不能進行・再発胃がん/胃食道接合部がん/食道腺がん患者を対象としたCheckMate-649試験では、CPSが5以上のPD-L1陽性集団において化学療法に対するニボルマブ上乗せによる全生存(OS)および無増悪生存(PFS)の有意な延長が認められ、CPSが1以上の症例、全集団においてもOSの有意な延長が示された。一方、HER2陰性の未治療胃がん患者を対象としたATTRACTION-4試験では、化学療法へのニボルマブ上乗せによりPFSの有意な延長が認められたものの、OSの有意な延長は示されなかった。

 両試験の結果を受け、日本胃癌学会ガイドライン委員会によるガイドライン(GL)速報では、一次治療前に可能な限りPD-L1検査を実施することが望ましいとした上で、「HER2陰性の胃癌・胃食道接合部癌に対する一次治療において、CPS 5以上の症例には、化学療法+ニボルマブ併用を推奨する。CPS 5未満の症例、もしくはPD-L1検査実施が不可能な場合は、全身状態や後治療への移行可能性などを考慮して、有効性とニボルマブ併用による副作用増加について十分説明を行った上で、化学療法単独の選択肢も含めて一次治療でのニボルマブ併用を検討することが望ましい」とされた。

 併用する化学療法のレジメンについては、CheckMate-649試験ではCapeOX〔カペシタビン+オキサリプラチン(L-OHP)〕、FOLFOX〔フルオロウラシル(5-FU)+レボホリナート+L-OHP〕、ATTRACTION-4試験ではSOX(S-1+L-OHP)、CapeOXであったことから、これらのレジメンが推奨されるとしている。

術前化学療法後の術後ニボルマブの推奨は「決定できない」

 一方、食道がんにおける術後補助療法の適応に関する承認については、第Ⅲ相試験CheckMate-577の結果に基づく(関連記事「食道がん術後ニボルマブによる補助療法の効果は?」)。同試験では、Ⅱ~Ⅲ期の食道がん/胃食道接合部がんで術前化学放射線療法および手術を行い病理学的完全奏効(pCR)が得られなかった患者において、術後療法としてのニボルマブ投与により無病生存(DFS)の有意な改善が示された。

 国内では、食道がんの術前療法として術前化学放射線療法ではなく、術前化学療法が標準的に行われていることから、この点をどう解釈するかが注目されたが、今回の日本食道学会のGL速報では、「術前化学療法および手術を行いpCRが得られなかった場合の術後ニボルマブ療法は、現時点で推奨を決定することができない〔合意率:92%(24/26)、2名に利益相反(COI)があり棄権、エビデンスの強さD〕」とされた。術前化学放射線療法および手術を行いpCRが得られなかった場合の術後ニボルマブ療法については、「強く推奨する〔合意率:81%(21/26)、2名にCOIがあり棄権、エビデンスの強さA〕」とされた。

 なお、CheckMate-577試験の対象とならなかった、術前療法でpCRが得られた症例へのニボルマブの有効性については、「明らかではなく、推奨されない」と明記された。

食道がんの一次治療におけるペムブロリズマブ併用を「強く推奨」

 さらに、切除不能進行・再発食道がんの一次治療においては、現行の『食道癌診療ガイドライン2017年版』では、シスプラチン+5-FU療法を行うことが弱く推奨されているが(CQ27)、未治療の進行再発食道がん患者(腺がん、扁平上皮がん/食道胃接合部のSiewert分類Type1の腺がん)を対象に化学療法へのペムブロリズマブ上乗せを検証した第Ⅲ相試験KEYNOTE-590の結果から、ペムブロリズマブ上乗せによりOS、PFS、奏効率のいずれも有意な改善が示された(関連記事「未治療食道がんでペムブロリズマブが奏効」)。

 この結果を受け、日本食道学会は前述のGL速報に加え、もう1件のGL速報として、「切除不能進行・再発食道癌に対する一次治療としてペムブロリズマブ+シスプラチン+5-FU療法を行うことを強く推奨する〔合意率92.3%(24/26)、エビデンスの強さ A〕」と発表した。

 なお、3つの速報版における診断・治療法の推奨度は、ガイドライン冊子版改訂までの暫定的なものであるとしている。

※ Combined Positive Score:腫瘍細胞総数におけるPD-L1で染色された細胞数の割合

(髙田あや)