33811_pho01.jpg 生殖可能年齢および妊娠期の女性がうつ病治療で抗うつ薬を服用するケースは多い。しかし、2004年に欧米で承認された選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)デュロキセチンによる胎児への安全性ははっきりしない。そこでデンマーク・Copenhagen University Hospital Bispebjerg and FrederiksbergのMikkel Zöllner Ankarfeldt氏らは、デンマークおよびスウェーデンの両国コホート研究において、妊婦のデュロキセチン曝露と催奇形性および死産リスクとの関連について検討。結果をPLoS Med2021; 18: e1003851)に報告した。

デュロキセチン曝露1,500例超を解析

 妊娠期にうつ病や抑うつ症状を呈する女性の割合は高く、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に次いで、SNRIの服用患者は多いという。しかし、これら抗うつ薬の服用による胎児の催奇形性などに関するデータは十分ではないことから、Ankarfeldt氏らはデュロキセチンをはじめとする抗うつ薬の妊婦への曝露と催奇形性との関連について、デンマークおよびスウェーデンの両国コホート研究により検討した。

 両国で2004〜16年に出生日が登録された妊婦約219万例のデータのうちデュロキセチン曝露が認められた1,512例(催奇形性解析)および1,668例(死産解析)を対象とした。催奇形性(大奇形および小奇形)に関しては出生後1年以内に限定し、妊娠直前の最終生理期間から365日以内の移民は除外した。同様に、最終生理期間から90日以内のワルファリン、抗がん薬、リチウムなどの服用例についても除外。死産に関しては、在胎期間22週以内または45週以上の症例などを除外した。

 追跡期間中、大奇形は8万760例、小奇形は6万4,594例、死産は7,699例であった。①デュロキセチン非曝露(対照)群、②SSRI曝露群、③ベンラファキシン(SNRI)曝露群、④デュロキセチン曝露群(ただし、妊娠中は非曝露)ーに分け、大奇形、小奇形、死産の各リスクについて比較した。なお、催奇形性および死産に関する解析では、妊娠初期から妊娠中の服用を「曝露」とした。

妊婦のデュロキセチン曝露と胎児の催奇形性および死産リスクに関連なし

 プロペンシティマッチングスコアにより、各リスクについてオッズ比(OR)を求めた。その結果、対照群に対する大奇形発生のORはデュロキセチン曝露群0.98(95%CI 0.74〜1.30)、SSRI曝露群1.07(同0.78〜1.46)、ベンラファキシン曝露群0.95(同0.66〜1.36)と、いずれもリスクの有意な上昇は認められなかった。

 小奇形のORはデュロキセチン曝露群1.09(95%CI 0.82〜1.45)、SSRI曝露群1.39(同1.00〜1.94)、ベンラファキシン曝露群1.20(0.82〜1.76)と、SSRI曝露群でのみリスクの有意な上昇が確認された(P=0.048)ものの、デュロキセチン曝露群およびベンラファキシン曝露群では有意差はなかった。死産のORは順に1.18(95%CI 0.43〜3.19)、0.63(同0.23〜1.71)、0.83(同0.25〜2.73)と、ばらつきは見られたものの、いずれもリスクの有意な上昇は示されなかった。

 以上から、Ankarfeldt氏らは「デンマークとスウェーデンの全国コホートを用いた観察研究において、妊婦のデュロキセチン曝露と催奇形性および死産リスクに関連は認められなかった」と結論。「今後はより大規模コホートを対象に、早産や中絶、在胎不当過小(SGA)児などのリスク評価も実施すべき」と結んでいる。

松浦庸夫