【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など、世界の主要な中央銀行が新型コロナウイルス危機対応で導入した大規模な金融緩和の軌道修正に乗り出した。打撃を受けた経済の回復を踏まえた措置だが、世界の債務残高はコロナ危機で過去最高水準に膨れ上がっている。中銀の利上げで金利が上昇すれば、景気の足を引っ張るリスクとなりかねない。
 FRBは15日、国債などの資産購入を通じた量的緩和策を縮小させるペースの加速を決めた。量的緩和の終了を従来計画の2022年6月から同年3月に早め、その後の利上げに備える構えだ。
 イングランド銀行(英中央銀行)は16日、コロナ感染拡大以降では日米欧の主要中銀で初の利上げに踏み切った。利上げに消極的なECBも同日、コロナ対応の資産購入策を22年3月末で終了すると明らかにした。
 中銀の「緩和マネー」にあふれた市場を背景に、各国政府はコロナ対策の財政出動を拡大させ、企業や家計の借入金は増大した。国際通貨基金(IMF)によると、世界の公的・民間債務は20年に総額226兆ドル(約2京5700兆円)に達し、過去最高を更新した。IMFは、FRBなどの超低金利政策で「金利が限界まで押し下げられ、政府の借り入れが容易になった」と分析する。
 一方、FRBは22年中に計3回の利上げを視野に入れる。英中銀も「緩やかな金融政策の引き締めが必要となる可能性がある」と、追加利上げを示唆。これまでの緩和による景気下支えから、インフレ抑制へと軸足をシフトさせつつあり、市場環境が短期間で激変する危うさをはらんでいる。
 IMFは「金融が大幅に引き締められれば、高水準の債務を抱えた政府や家計、企業を圧迫する」と、懸念をあらわにした。 (C)時事通信社