日銀が、来年3月末で期限が切れる新型コロナウイルス対応策の縮小を決めた。大企業を中心に資金繰りが落ち着いてきたためで、「臨時、緊急的な措置」(幹部)だったコロナ対応は導入から2年をかけようやく出口に向け半歩進むことになる。しかし、金融緩和の正常化が加速する欧米に比べ、日銀の出遅れは鮮明。円安を通じ「悪い物価上昇」への懸念も台頭する。
 「大企業を中心とした資金繰り支援は終えるが、2%の物価目標に向けて行っている金融政策は変わらない」。黒田東彦総裁は17日の記者会見で、コロナ対応策を縮小しても、現在の大規模緩和は継続する考えを強調した。
 これに対し、インフレ圧力が強まる米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、量的緩和縮小の加速を決定。イングランド銀行(英中央銀行)も16日、コロナ禍が広がる中、日米欧の主要国で初の利上げに踏み切った。
 日本でも、企業間取引の価格を示す企業物価指数が約35年ぶりの水準にまで上昇するなど、原油や原材料など資源価格高騰の影響が広がりつつある。しかし、価格転嫁の動きは限定的。消費者物価はほぼ横ばいで、黒田総裁も「欧米のように金融政策の正常化に向けて動きだすことにはならない」と、緩和路線の転換を否定した。
 ただ、欧米の金融引き締めで内外の金利差が拡大すれば、円安が進んで原油や食料など輸入品がさらに値上がりし、企業や家計の負担が増すリスクもある。コロナの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大など不透明感も広がる中、日銀の金融政策運営は難しさを増している。 (C)時事通信社