尿失禁の治療に再生医療の新たな選択肢―。サイトリ・セラピューティクス社は12月17日、同社が開発した「セルーション セルセラピーキットSUI」が厚生労働省から、男性腹圧性尿失禁のための医療機器として承認されたと発表した。同キットを用いた、脂肪組織由来再生幹細胞(ADRC)による尿失禁治療が始動する(関連記事「皮下脂肪が尿失禁を改善する未来」)。

自己脂肪組織由来の細胞を使用、低侵襲かつ短時間の治療

 ADRCによる男性腹圧性尿失禁の治療は、名古屋大学泌尿器科学教授の後藤百万教授を治験調整医師として、2015~19年に多施設共同での医師主導治験が実施された。

 治験の対象は、尿失禁量が中等度以下で、行動療法および薬物療法が無効または効果不十分などの条件を満たす男性腹圧性尿失禁患者。治療方法は、患者の腹部から皮下脂肪組織を吸引し、セルーション セルセラピーキットを用いてADRCを抽出、経尿道的に尿道括約筋部に注入するというもので、日本発・世界初の試みである。

 サイトリ・セラピューティクス社によると、有効性・安全性が確認されたことから、2019年に同キットの販売承認申請を行い、今年(2012年)12月16日の厚労省薬事・食品衛生審議会で承認された。今後、保険適用に向けた手続きを行うという。

 後藤氏は、この治療法には、①自己組織由来の細胞を用い、体外での細胞培養を必要としない、②脂肪吸引・ADCR抽出・尿道抽出が3時間程度の一連の操作で済む―という利点があり、低侵襲かつ短時間で実施できる有望な治療法だと指摘。尿失禁患者への早期導入を切望するコメントを発表している。

平田直樹