世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株について、ワクチンの有効性に関する新たなデータが示された。米・モデルナは12月20日、同社製のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの3回目接種(ブースター接種)により、オミクロン株に対する中和抗体価が大幅に上昇したと発表した。ブースター接種で使用される50μgでは接種前と比べ約37倍、100μgでは約83倍の抗体価が得られたという。(関連記事:「オミクロン株、再感染リスクに懸念」

「当面はブースター接種に注力」

 モデルナでは次々に出現するSARS-CoV-2の変異株に対応するため、これまで継続的にブースター接種用のワクチン候補を検討してきた。今回報告されたのは、現在用いられているワクチンmRNA-1273(50μg/100μg)に加え、変異株に対する多価ワクチン候補mRNA-1273.211(50μg/100μg)とmRNA-1273.213(100μg)のブースター接種者20人から得られた血清データ。米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)ワクチン研究センターと米・デューク大学メディカルセンターが設置した研究室で、それぞれのワクチンのオミクロン株に対する中和抗体を評価した。

 検討の結果、ブースター接種後29日で、mRNA-1273の50μg群ではオミクロン株に対する幾何平均抗体価(GMT)が接種前の約37倍に当たる850に、同100μg群では約83倍に当たる2,228に上昇していた。また多価ワクチン候補でも、ブースター接種により50μgと100μgの両群でオミクロン株に特異的な中和抗体が高レベルに上昇した。副反応については、mRNA-1273の100μg群で安全性と忍容性が認められた。

 同社最高経営責任者(CEO)のStéphane Bancel氏は「将来的な必要性に鑑み、オミクロン株に特異的なブースター接種ワクチン候補の開発を臨床試験段階に進めたい」とコメント。一方、mRNA-1273による中和抗体価の高さやオミクロン株の感染力の強さなどを踏まえ、当面はmRNA-1273のブースター接種に注力するとしている。

(平山茂樹)