【パリ時事】新型コロナウイルスの新たな感染者数が1日当たり約5万人に上るフランスで、ワクチン接種が事実上、義務化される見通しとなった。マクロン大統領はこれまで義務化を否定していたが、経済への打撃が大きいロックダウン(都市封鎖)回避に向けて苦肉の策を迫られた格好だ。しかし、一部の国民の反対は根強い。各地で抗議デモも起きている。
 カステックス首相は17日、飲食店や公共施設などを利用する際に提示が義務付けられている「衛生パス」について、ワクチン接種を完了していなければ取得できない仕組みに変更すると表明した。来年1月に法案を議会に提出する。
 これまでは陰性証明でもパスを取得できた。法案が可決されれば、ワクチン未接種者の行動だけがさらに制限されることになる。カステックス氏は「ワクチンに反対する数百万人のフランス人が国全体を危険にさらすことは許されない」と強調した。
 これを受けて18日、パリなど複数の都市でワクチン義務化に反発する人々が抗議デモを行った。仏メディアによれば、計約2万5500人が参加した。
 フランスでは最初に新型コロナの感染が拡大した昨年3月以降、ロックダウンや移動制限、外出制限が繰り返し行われてきた。今年の夏以降は、ワクチン接種が進み経済活動が再開。ルメール経済・財務相は今年6月、仏メディアに対し、22年1~3月期にも新型コロナ前の経済水準に戻ると明るい見通しを示していた。
 景気回復の兆しが見えた今、マクロン氏は何としてもロックダウンを回避したい考えだ。大統領府関係者は21日付の仏紙フィガロに対し「(ロックダウンの)教育、社会、経済、心理に与える代償を忘れてはならない」と強調した。
 一方、オランダ政府は19日からロックダウンを開始。スペインではサンチェス首相が22日、ロックダウンを含む規制導入をめぐり地方自治体の首長と協議すると、パイス紙が報じている。欧州内でも各国の対応に差が出そうだ。 (C)時事通信社