畿央大学大学院健康科学研究科の山本美穂氏、教授の庄本康治氏らは、急性脳卒中患者の体重変化と悪液質診断基準の関連を検討。体重減少群では、悪液質診断基準を満たす割合が有意に高いことを報告した。結果はNutirition(2021年12月3日オンライン版)に掲載された。

悪液質診断基準との関連性を検討

 悪液質とは、がんや心不全などによって引き起こされる、骨格筋量の減少を特徴とする複合的な代謝異常症候群である。慢性疾患の末期に出現することが多い。

 脳卒中後の体重減少が予後不良と関連することは知られているが、その原因についてはこれまで十分に理解されていなかった。

 そこで山本氏らは、脳卒中発症後、急性期病院に入院した患者155例を対象に、体重変化率と悪液質診断基準の関連性について検討した。入院時と退院時の体重変化率および退院時の悪液質診断基準の評価を行った。評価に用いたのはEvansらの分類(表1)で、3項目以上満たす場合に悪液質と判断した。

表1. 悪液質診断基準(Evansらの分類)

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悪液質基準を満たす割合は体重減少群60%、体重安定群22%

 検討の結果、30例に5%以上の体重減少が見られた(体重減少群)が、125例では見られなかった(体重安定群)。悪液質基準を満たす例は、体重減少群が18例(60%)、体重安定群が28例(22%)で、5%以上の体重減少と悪液質に有意な関連が認められた(P<0.001、表2)。また、体重変化に影響を及ぼす他の要因〔Model2:エネルギー摂取量、Model3:エネルギー摂取量、年齢、性、入院時BMI、米国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)、炎症性疾患、急性期入院日数、臥床期間、嚥下機能〕を調整後も、悪液質基準と体重変化の有意な関係は一貫して認められた(順にP<0.001、P=0.043)。

表2. 悪液質基準と体重変化の関係

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(表1、2とも畿央大学プレスリリース)

 以上の結果から、山本氏らは「悪液質基準を満たすことは脳卒中患者の体重減少について、他の要因とは独立して関係する」と結論。「脳卒中患者の体重減少に対しては、悪液質の影響を考慮し早期診断・早期介入することで、生命予後やQOL改善に寄与する可能性がある」と指摘している。

(平吉里奈)