早産は呼吸器症状の増加と肺機能障害に関連し、特に気管支肺異形成(BPD)を来した児で顕著だが、小児期以降に推奨される治療は明らかでない。英・ Bangor UniversityのNia Goulden氏らは、12週間の吸入ステロイド薬(ICS)単独投与またはICSと吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)併用投与がプラセボと比べて呼吸機能や運動能を改善するかを検討する二重盲検ランダム化比較試験を実施。 ICS+LABA併用は早産に関連する小児の肺機能の改善に有用であるとJAMA Pediatr2021年12月13日オンライン版)に報告した。

早産かつ肺機能低下を有する53例が対象

 早産後の未熟児関連肺疾患への気管支拡張薬投与を検討したシステマチックレビューでは、気管支拡張薬の単回投与による1秒量(FEV1)の改善が示されているが、長期投与の評価は行われていない。また、小児期のICS投与に関するエビデンスも限定的である。2020年の欧州呼吸器学会(ERS)のガイドラインでは、乳児期にBPDを来した小児に対するサーベイランスや治療に関するエビデンスおよび推奨は十分でないと強調している(Eur Respir J 2020; 55: 1900788)。

 今回の検討の対象は在胎34週以下で生まれ、年齢や性から算出される予測FEV1に対するFEV1の割合(%FEV1)が85%以下の7~12歳の早産児。2017年7月1日~19年8月31日に英・ウェールズ小児病院に登録された144例のうち、53例をフルチカゾン50μgを1日2回投与するICS群(20例)、フルチカゾン50μg+サルメテロール25μg を1日2回投与するICS+LABA群(19例)、プラセボを1日2回投与するプラセボ群(14例)に1.3:1.3:1でランダムに割り付け、12週間投与した。

  平均年齢は10.8歳(標準偏差1.2歳)で、女児が55%、白人が50例でアジア人1例、その他の人種が2例で、3群間に差はなかった。BPDは在胎32週未満で生まれた場合は生後28日以上、在胎32週以上で生まれた場合は生後56日以上の酸素療法を要する例と定義され、約4割が乳児期にBPDを来していた。

 主要評価項目は治療前後の%FEV1の改善で、副次評価項目はその他の呼吸機能指標、運動能力、呼気一酸化窒素(NO)濃度などだった。

ICS+LABAの12週投与により%FEV1を有意に改善

 治療後のICS群の平均%FEV1は81.6%(標準偏差12.0%)、ICS+LABA群は88.0%(同7.1%)、プラセボ群は73.9%(同11.5%)だった。共分散分析の結果、 ICS群の%FEV1はプラセボ群と比べて7.7%(95%CI −0.27~15.7%、P=0.16)高く、ICS+LABA群は有意に14.1%(同7.3~21.0%、P=0.002)高かった。また、ICS+LABA群はプラセボ群と比べて努力肺活量(FVC)の25~75%の平均努力呼気流量(%FEF25-75)、最大呼気流量も有意に高かった。

 なお、割り付け時にICS未使用の症例に限ると、 ICS+LABA群はICS群と比べて%FEV1、%FEF25-75、FEV1/FVC比が有意に良好だった。

 また、ICS群群とICS+LABA群ではプラセボ群に比べて呼気一酸化窒素濃度が低下し、運動後の気管支拡張反応が改善した。一方、作業負荷や心拍数、呼吸数、換気量などで評価した運動能力の改善は認められなかった。

 この点について、 Goulden氏らは「今回の検討における運動能力テストは、相違を検出するには感度が低かった可能性がある。ICS+LABA併用投与とともに運動プログラムを実施することで、肺機能障害児の身体活動が改善する可能性は高い」と考察している。

(安部重範)

  • 対象の3分の1が既にICS治療を受けていると推定されたため。ICS治療を受けていた9例は休薬後にICS群(5例)、ICS+LABA群(4例)にそれぞれ割り付けられた