【ニューヨーク時事】クリスマスを目前に控えた米国で、新型コロナウイルスの感染者数が急増している。新変異株「オミクロン株」の急速な拡大を懸念するバイデン大統領は21日、国民向けの演説で「重大な局面だ」と訴え、簡易検査キット5億個の無償配布などの対応強化策を発表。危機回避のカギとなるワクチン接種の促進に向け、奨励金を支給する動きも浮上した。
 米疾病対策センター(CDC)によると、20日の新規感染者数は約28万8600人で、米国で最も感染者が出た今年1月以来の高水準となった。東部ニューヨーク州では20日、5日連続で2万人超の感染者を確認。7日間平均の陽性率は7.9%で、増加傾向に転じた11月初旬の2.2%と比べても3倍以上に達した。
 CDCの推計によると、18日までの1週間の感染者の約73%がオミクロン株で、主流だったデルタ株から短期間で置き換わっているとみられる。ワクチン接種完了後に感染する「ブレークスルー感染」も多数報告されている。CDCは、数週間のうちに感染のピークを迎え、全米での1日の新規感染者数が過去最多の約29万4000人を上回る可能性があると指摘している。
 ただ、行政側はロックダウン(都市封鎖)のような厳しい行動規制には慎重だ。バイデン氏は「打てば重症化を防げる」として、改めてワクチン接種を呼び掛けた。ブロードウェーの休演が相次ぐなど影響が広がるニューヨーク市では、ワクチンの追加接種者に100ドル(約1万1000円)のプリペイドカードの支給を始めた。
 医療現場も危機感を強めている。ニューヨーク・タイムズ紙は、「職員も病気になり、徐々に内部崩壊している」というメーン州の病院で働く女性(42)の証言などを交えながら、一部で深刻な人員不足が生じていると伝えた。バイデン氏は医療機関の逼迫(ひっぱく)解消のため、軍から要員1000人を派遣するとしている。 (C)時事通信社