【ニューヨーク時事】米主要企業による今年の自社株買いが総額8000億ドル(約91兆円)を超え、過去最高を更新する見通しとなった。新型コロナウイルス危機で急減した昨年から一転。業績回復を受け、ITや金融を中心に、多くの企業が自ら発行した株式の購入を再開させた。ただ「余裕資金は研究開発などに振り向けるべきだ」といった批判も根強い。
 自社株買いをめぐっては、バイデン米政権が大型歳出法案に課税措置を盛り込むなど、逆風が吹き始めている。日本では岸田文雄首相が指針策定による制限に言及した。
 企業が自社株を購入して消却すると発行済み株式数が減り、投資家が重視する「1株当たり利益」の増加につながる。配当増への期待から株価を押し上げる効果もある。
 米主要株価指標「S&P500種指数」の構成銘柄企業を対象にS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが行った集計によると、2021年1~9月の自社株買いは計6116億ドルと、前年同期の約1.6倍に拡大。10月以降は増加傾向がさらに鮮明となり、通年では18年に記録した過去最高の8064億ドルを超えるのが確実な情勢だ。
 企業別では、IT大手アップルやメタ(旧フェイスブック)のほか、金融大手JPモルガン・チェース、小売り大手ウォルマートなどが積極的に自社株を購入した。
 昨年は米政府がコロナ対策の企業支援を検討する中、巨額の自社株買いに批判が集中。企業も手元現金の確保に走った結果、自社株買いは5000億ドル台に急減した。
 米株価が高値で推移し、株式の買い戻しコストは膨らんでいる。しかし、S&Pのアナリスト、ハワード・シルバーブラット氏は「企業は自社株買いへの支出を増やしていく」と予想した。 (C)時事通信社