強迫性障害(OCD)は、生涯有病率が2〜3%と精神疾患の中でも有病率が高い。しかし、実臨床では初発エピソードから適切な治療開始までの期間が長いことが課題とされる。そこでドイツ・University of LeipzigのSina Ziegler氏らは、初発エピソードから診断および診断から治療開始までに要する期間について検討。結果をPLoS One2021; 16: e0261169)に報告した。

OCD患者100例を調査

 世界的に生涯有病率が2〜3%と高いOCDは、初発エピソードから適切な治療開始に至るまでの期間が最長17年に及ぶと報告されている。しかし近年、精神疾患に対する重要性、予防と早期診断、早期介入の必要性などが世界的に認知されるようになったことから、Ziegler氏らは現在の初発エピソードから診断、診断から治療開始までの期間について検討した。

 対象は、University of Leipzig Medical Centreの精神科外来においてOCD治療中の患者100例(平均年齢40歳、女性57%)。18歳以上、国際疾病分類第10版(ICD-10)に基づくOCDの診断、ドイツ語での会話が可能などを条件とした。2019年2〜5月にOCDの評価尺度などを用いたオンライン調査(一部の対象者に筆記式あり)により重症度、社会心理的機能、セルフスティグマに基づく行動などを評価し、初発エピソード時年齢、診断時年齢、診断から治療開始までの期間を算出した。

診断までの期間が7年以上ではより重症

 調査の結果、OCD初発エピソード時の平均年齢は18.72歳〔標準偏差(SD)11.24歳〕、診断時平均年齢は31.71歳(同12.57歳)で、初発エピソードから診断までの平均期間は12.78年(同11.30年)、診断から治療開始までの平均期間は1.45年(同4.51年)であることが分かった。なお、機能の全体的評価尺度(GAF)の平均スコアは68.69点で軽度の社会心理機能障害レベルに該当し、セルフスティグマに基づく言動は低いことなどが明らかになった。

 さらに、OCD初発エピソードから診断までの期間を、7年未満の短期間群と7年以上の長期間群に分けて比較した。その結果、初発エピソード時の平均年齢は短期間群が22.85歳、長期間群が16.08歳であったが、平均年齢は長期間群に比べ短期間群が有意に若かった(42.32歳 vs. 33.36歳、P=0.001、効果サイズγ=0.35)。また、OCDの重症度は、短期間群に比べ長期間群で有意に重症であった(P=0.035)。

 以上から、Ziegler氏らは「OCD初発エピソードから診断までの期間は約13年と長く、適切な診断から適切な治療に至るまでの期間は依然として極めて長期にわたることが示された」と結論。「初発エピソードから診断に至る期間を短縮することが不可欠であり、そのためには小児科医、小児精神科医、精神科医らによる緊密な連携が必要」との見解を示している。

松浦庸夫