中性脂肪学会(代表理事=大阪大学大学院中性脂肪学共同研究講座特任教授・平野賢一氏)は、循環器系の難病である中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy;TGCV)が国の指定難病に認められるよう、学会としての考えをまとめた。昨日(12月23日)「中性脂肪学会宣言2021」として、You Tubeに投稿した。

指定難病化の遅延は患者の不利益

 TGCVとは、細胞内中性脂肪分解障害を起因として心臓、血管、骨格筋、白血球、膵臓、腎臓などの全身組織および、これらを構成する細胞に生じる中性脂肪代謝異常症で、生命予後に直結する。2008年に平野氏らが見いだしたが、発症メカニズムは不明で治療法も確立されておらず、10年以上の長期療養を要する難病である。

 昨年(2020年)12月時点で、わが国の累計TGCV患者数は336例。うち58例の死亡が確認されている。また、国立循環器病研究センターが中心となって実施した剖検心の病理学的解析では数万人規模のTGCV患者が潜在し、診断されないまま死亡していると想定される。

 第4回同学会学術集会(12月4日、ウェブ併催)で、TGCV患者会が企画した「TGCVの指定難病化を目指して」では、診断の遅れや治療法が未確立という厳しい現状が報告された。

 患者は高額な医療費を負担せざるをえず、同学会は「TGCVの"指定難病化"は喫緊の課題」としている。今年、厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会でTGCVの指定難病化が審議されたものの承認は見送られたため、難病指定の遅延は生命予後が不良なTGCV患者にとって、大きな不利益となると指摘。「本学会はTGCVの早期の指定難病化が必要であると考える」とする「中性脂肪学会宣言2021」を公表した。

(田上玲子)